平成04年05月19日 参議院 地方行政委員会

[275]
日本共産党 諫山博
警察白書によると、平成2年1月から12月までの極左暴力集団、私たちは、にせ左翼暴力集団と呼んでいますけれども、極左による皇室闘争関連のテロ・ゲリラ事件は127件となっています。

組織ごとに、何件事件を起こしたのか、何件検挙したのか、検挙率はどうなっているのかということを説明してください。

[276]
政府委員(警察庁警備局長) 吉野準
皇室闘争関連極左暴力集団の闘争でありますが、件数は御指摘の127件でございます。

組織別では、中核派が111件、それから革労協狭間派というのがございますが、これが14件、もう一つ戦旗・荒沢というのがございますが、これが2件でございます。

これらの事件の検挙でありますが、3件7名ということでございます。

[277]
日本共産党 諫山博
天皇問題で大変な警備体制をとったということは今説明がありました。ところが、平成2年の1月から12月までに127件テロ・リンチ事件が起きているわけです。3件しか検挙されていないということですけれども、中核派、革労協、戦旗・荒沢、これはそれぞれどのくらいの人員を擁しているのか、そしてこういうグループが事件を起こしたということがどうしてわかったんですか。

[278]
政府委員(警察庁警備局長) 吉野準
勢力人員でございますが、中核派の場合は約5000人、それから革労協、これは今狭間派と申しましたが、もう一つの派閥があるわけでありまして、それを合わせますと全体で約2500人、それから戦旗・荒沢、これは約700人の勢力を擁しております。

どうしてわかったかというお話でございますが、これは一つには犯行声明というのを出します。それから、それだけではなくて、累積的な今までの事件の積み重ねがございますので、いろいろな手口がございます。こういうものも私どもは分析しておりますので、そういうものを総合いたしましてそれぞれの犯行というふうに決めたわけでございます。

[279]
日本共産党 諫山博
法務省に質問します。

法務省からいただいた資料によりますと、極左暴力集団によるテロ・内ゲバ事件の発生件数と起訴件数は次のようになっています。

読み上げます。

昭和58年20件発生、起訴0。
昭和59年59件発生、起訴1件、起訴率は1.7%。
昭和60年99件発生、起訴4件、起訴率は4%。
昭和61年98件発生、起訴5件、起訴率は5.1%。
昭和62年41件発生、起訴2件、起訴率は4.9%。
昭和63年42件発生、起訴2件、起訴率は4.8%。
平成元年28件発生、起訴0。
平成2年152件発生、起訴2件、起訴率は1.3%。
平成3年30件発生、起訴1件、起訴率は3.3%。

合計すると、569件発生して起訴したのは17件、起訴率は3%。間違いありませんか。

[280]
説明員(法務省刑事局公安課長) 馬場義宣
お説のとおりでございます。

[281]
日本共産党 諫山博
もう少し警察白書のことを聞きます。

警察白書を読みますと、極左暴力集団による即位の礼当日のテロ、ゲリラ発生は、6都県で40件とされています。どういう罪名で事件を起こしたのか、検挙件数は何件あったのか、説明してください。

[282]
政府委員(警察庁警備局長) 吉野準
罪名でございますが、迫撃弾を発射したものが9件でございまして、これはいろいろございますが、爆発物取締罰則違反ということでございました。

それから金属弾を発射したものがあります。これは器物損壊等に当たると思います。それから放火、これが30件ほどございます。

全部で40件でございまして、検挙につきましては現在なお捜査継続中でございまして、現在時点では検挙はございません。

[283]
日本共産党 諫山博
即位の礼の当日起きた事件を今なお捜査中といっても、これはなかなか捕まらぬのじゃないかと思いますけれどもね。

もう一つ、大嘗祭当日の極左暴力集団によるテロ、ゲリラは、7府県11件とされています。主な罪名は爆発物取締罰則違反と放火、そして検挙なしじゃないですか。

[284]
政府委員(警察庁警備局長) 吉野準
数字は御指摘のとおりでありまして、事件につきましてはなお捜査継続中ということでございます。

[285]
日本共産党 諫山博
法務省に質問します。

法務省からいろいろ資料をいただきましたけれども、この10年間に極左暴力集団のテロ・内ゲバ事件で何名死者が発生したのか、その中で起訴されたのが何名いるのか、説明してください。

[286]
説明員(法務省刑事局公安課長) 馬場義宣
テロ・ゲリラ事犯で死者が出た件数でございますが、昭和58年から申し上げます。58年は1件。59年、60年と死者が発生した事件はございません。61年になりまして2件。62年はございませんで、63年に1件、平成元年に3件、平成2年に3件、平成3年に1件、合計で死者が発生した事件数は11件でございます。

そして、起訴の関係でございますが、死亡した事件で起訴した事件はございません。

[287]
日本共産党 諫山博
成田空港に関する極左暴力集団のあの妄動、あれで何人ぐらい死者が発生し、何人起訴されましたか、法務省。

[288]
説明員(法務省刑事局公安課長) 馬場義宣
検察において昭和58年から平成3年までの間に起訴した事件のうち、成田の関連のゲリラ事犯と認められるものは昭和59年の1件、昭和60年の1件、昭和61年の2件、昭和62年の1件、昭和63年の1件であり、被害者が死亡した事例はその中にはございません。

なお、成田関連の内ゲバ事犯というものの起訴事例はございません。

[289]
日本共産党 諫山博
あの成田事件では、数え切れないぐらい刑事事件が発生しています。死者も非常に多いと思います。ところが、起訴された事件はほんのわずか、死者が出た事件はだれ1人起訴されていないという現状のようですけれども、警察の検挙はどうなっていますか。

[290]
政府委員(警察庁警備局長) 吉野準
私どもは、昭和46年以降で申し上げたいと思うのでありますけれども、死者の出た事件は6件発生しておりまして、人員でいきますと10人の方が亡くなっております。このうち検挙した者でございますが、昭和46年の9月16日に発生いたしました成田第二次代執行阻止闘争事件というのがございますが、これでは123人を検挙いたしております。その他の事件については、継続捜査中でございます。

[291]
日本共産党 諫山博
法務省にお聞きしますけれども、一般的に殺人事件の検挙率は95%を上回っているんじゃないですか。これは警察に答弁を求めましょうか。

[292]
政府委員(警察庁刑事局長) 國松孝次
そのとおりでございます。

[293]
日本共産党 諫山博
極左暴力集団に本気で警察は対処しているのか、泳がせているのではないかという批判が非常に強いですよ。それは当然です。彼らの犯行によって、何人も何人も死者が出ております。殺人事件の検挙率は例年95%を超しております。ところが、これほどの事件が検挙もされない、起訴もされないというのは、本気でやってないとか泳がせていると言われてもしょうがないじゃないかと私は思います。

彼らの事件で一番多い罪名は、爆発物取締罰則違反、もう一つは放火事件、もう一つは殺人事件。これは、刑事事件としては非常に犯人を捕まえやすい事件なんですよ。たくさんの証拠が残るのが放火事件だし爆発物事件だし殺人事件でしょう。しかも、爆発物取締罰則違反というのは、爆発物を使用しただけではなくて、持っていてもひっかかる、情報を知っていてそれを届けなくてもひっかかる、がんじがらめに処罰できるような規定ができている、これが爆発物取締罰則違反です。ところが、この殺人事件の中には本当に気の毒な一般家庭の主婦とか、全くの巻き添えというような事件が何件もあります。そして、犯行声明までされている。警備局長、なぜこれが捕まりませんか。

[294]
政府委員(警察庁警備局長) 吉野準
今、泳がせているんではないかという御指摘がございましたが、これはぜひともはっきりお答えいたしておかなければいけないと思いますが、さようなことは断じてございません。

そこで、なぜ捕まらないかということでございますが、確かに私ども努力不足の面もあろうかと思いますけれども、あえて申し上げますと、殺人、爆発、放火、一般の例と並べて比較されましたけれども、手口が全く違うわけです。爆弾を仕掛けるにしましても放火をするにしても、時限式発火物というものを使います。さらにまた、その装置が燃えまして、全部証拠が隠滅するようになっております。さらに申し上げますと、事前に大変綿密な調査部隊の調査がございまして、そういうことでなかなか、私ども前足、後足と言っておりますけれども、そういうものがとりにくいということで、捜査が非常に難しいという面があるのを御理解いただきたいと思います。

[295]
日本共産党 諫山博
私、事前にいろいろ警察の関係者と話し合いました。極左との知恵比べですよというような言い方をしているんですね。知恵比べだったら25万もいる警察が負けているじゃないですか。彼らはやりほうだいのことをやっている。私は、毅然とした態度であの極左暴力分子に鉄槌を加えていただきたいと思いますけれども、国家公安委員長の決意はどうですか。

[296]
自治大臣・国家公安委員長 塩川正十郎
私は、就任以来、暴力団対策と右翼、そしてさらには極左、こういう社会不安をつくっていく、暴力に訴える団体に対して断固たる処置をしてほしいということを言っておりますし、現に、先ほども警察庁長官が言っておりますように、あらゆる能力を結集してその方向に投入しておるわけでございます。

今後も一層の努力をして、少しでもそういう不安を持たないように、国民がそういう不安から解放されるように、一層の強い指導に努めていきたいと思っております。