昭和59年10月05日 衆議院 地方行政委員会

[212]
日本共産党 三浦久
今回のにせ左翼暴力集団、中核派による自民党本部襲撃事件は、共産党が一貫して指摘をいたしておりましたように、彼らが非常に反社会的な犯罪者集団である、そういう本質を私はまざまざと見せつけたものだというふうに考えております。

午前中の質問を聞いてみますと、何か共産党と関係があるみたいなことを言っておりますけれども、この中核派とか革マル派というのは左翼を装った反共暴力集団であります。共産党とも、また科学的な社会主義とも縁もゆかりもない集団であります。彼らは、もう公安警察自身がよく知っておりますように、日共打倒とか、または日共の永続的解体というようなことを言って、そして日本共産党の打倒ということを主な政治的な目的としている、そういう集団であります。ですから我々は、こういう暴力集団と最も厳しく対決をし、その本質を国民の前に明らかにしながら闘ってきております。



[214]
日本共産党 三浦久
にせ左翼暴力集団の犯罪行為というのはたくさんあるのですね。ですから、どのくらいの検挙率がというようなことを一つ一つお尋ねするのも大変だと思いまして、特に殺人事件は内ゲバで起きておりますので、私の方で内ゲバ殺人事件についての検挙率の資料をいただきました。これは45年から59年まで出ておりますが、内ゲバ殺人事件は64件あるそうですね。そしてトータルですが、死者数が81人、検挙件数20件、そういうふうに資料をいただいておりますが、これは間違いありませんか。

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説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
45年以降64件発生いたし、81人が亡くなっております。検挙いたしましたものはそのうち20件でございまして、検挙率といたしましては3割強ということになっております。

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日本共産党 三浦久
ところが、これは実際の検挙率をあらわしていないのですね。例えばこれは件数でしょう。検挙率というのは犯人が何人おって何人逮捕されたかということが検挙率であって、1件で10人の犯人がいた、それに対して1人つかまえたという場合には、1件発生して検挙件数1件と出てくるわけでありますから、こういういわゆる件数で出してくるというやり方は、わずか1割のものが10割の検挙率だというふうになっているわけですね。ですから私の方は、これじゃ正確な資料じゃないから、ちゃんと犯人が何ぼおって、そして何人検挙されたのかという資料をください。それはだめだというのですね。警察の方はお出しにならない。どうしてこれは出せないのですか。ちょっとお尋ねいたします。

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説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
内ゲバは必ずしも1人の人間が1件の事件を起こすということではない、複数の人間が1件の事件を起こすということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、1件の事件について何人も逮捕を出しているというケースもあるわけでございます。ただ、何件のものについて1人以上を逮捕しているかということになりますと、今のような統計になってくるわけでございます。

それから、資料の提出の関係でございますけれども、現在未検挙のものにつきましても、いずれも捜査継続中でございまして、その捜査の中身を申し上げることはできるだけ控えさせていただきたいと思ってあれしたわけでございます。

[218]
日本共産党 三浦久
捜査の中身を聞いているのじゃなくて、何人犯人がおって何人検挙されたのですかということを聞いているのです。そんなことが捜査の秘密ですか。そんなことはありませんね。

私も、余りにも資料を出さないのでちょっと調べてみたのです。おたくの、いただいた資料を見てください。48年は殺人件数1件になっていますね。死者が2名、検挙件数1となっています。これはわかりやすいから、この例を見てみましょう。

48年の事件というのはもう御承知ですね。これは48年9月15日の神奈川大学構内内ゲバ殺人事件です。これで49年、翌年の警察白書を見ますと「被疑者26人の割り出しに成功した。」とちゃんと書いてあるのです。警察白書ですよ。これは57年に逮捕されているのですね。だから58年の警察白書によりますと、「指名手配中の革労協最高幹部を含む7人を検挙した。」とちゃんと書いてあるじゃないですか。何で秘密ですか。

そうすると、26人の割り出しに成功し、7人の被疑者を検挙した、あとの残っている人間について捜査継続でしょうけれども、ちゃんと発表しているじゃないですか。だから、何人犯人がおって何人検挙したというようなことは秘密でも何でもないのです。検挙されていない人間についてどういう捜査をやっているのかなんて聞いているわけじゃないのですからね。そんなことは、起訴されるわけですから当然はっきりわかっていることなのです。それを全然資料を出さない。どういうわけなのでしょうかね。

ですから、実際にこの分でも、例えば48年の場合には発生件数1、検挙件数1だから100%の検挙率になっているわけでしょう。実際には26%の検挙率なのですよ。だから、こういうように30%強の検挙率だなんてあなたが今胸を張っていますけれども、実際は10%にも満たないだろうと私は思うのです。犯人の数が何ぼか、検挙した人数が何ぼかということになればこれは数%にしかならないだろうと私は思うのです。そういう検挙率が低いものだからこういう資料の出し方をしてくるのですね。こんなことを言っていると時間がなくなってしまうので次に移れませんけれども、本当に国民の協力を得て検挙件数を上げたい、根絶したいというのであれば、国民に本当のことを知らせなければだめじゃないですか。

そういう意味で私は委員長に申し入れをしたいのですけれども、何人犯人がおって何人検挙したという資料を警察に提出していただくように委員長からもお申し出いただきたいと思います。

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説明員(警察庁警備局長) 柴田善憲
ただいまの神大内ゲバ事件につきましては、革労協が攻めてまいりました革マルに反撃をしたという事件でございまして、被疑者の数は捜査が最後までいってみないと幾らになるかということはわからないわけでございますが、発生の直後から捜査に入りまして、何人かの人間を割り出して、それまでにも検挙をいたしておるものでございます。

犯人の数が何人かというのは秘密でも何でもないだろうというお話でございますが、実は犯人の数が何人いるかということは重大な捜査上の秘密事項になると思うわけでございます。と申しますのは、我々は、5人でやったのにまだ3人しか捕まっていない、5人と言っておる、そうすると、あと2人は捕まるなということになるわけでございます。そこで、彼らといたしましては急遽対策を講ずるということがあるわけでございまして、また、犯人の数につきましても、捜査を遂げてみませんと本当は何人でやったのかということがわからない場合が多いわけでございます。そこで、犯人の数を分母としまして、何人挙げたから何%という統計はなかなか出しにくいし、必ずしも実態に迫ったものではないだろう、このように思う次第でございます。

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日本共産党 三浦久
それはあなたたちのへ理屈であって、では、何でここにそういうことを出しているのですか。26人の割り出しに成功した、そのうち7名逮捕した、そういうことをちゃんと堂々と発表しているから私言っているわけであって、秘密なら発表しなければいいでしょう。発表されているじゃありませんか。国民の前に真実を知らせるということをしなければ国民の協力は得られないということだけは指摘しておきたいと思います。