昭和50年02月15日 衆議院 予算委員会

[034]
日本共産党 石母田達
また、中核派、革マル派の内ゲバの殺し合いによって、これがまた職場の中に暴力が持ち込まれている事件も起きております。9月14日、中核派の北小路政治局員の、9月に中核派の全逓の労働者が殺されたから今度は革マル派の全逓の労働者を殺してやる、こういう宣言が堂々と朝日新聞に載ること自体が私は異常だと思う。しかもこの宣言どおりに、10月3日に革マル派の山崎洋一、東京中央郵便局の局員の人でありますけれども、これが中核派に殺されておる。続いて、10月15日、12月1日にも中核派、革マル派の労働者が一人一人殺されるという事件が起きておるわけです。

また、動労の革マル派、これによる暴力事件が特に国鉄関係、青森機関区、あるいは北海道の釧路、標茶、名古屋の稲沢第二機関区、こういうようなところで起きて、安心して労働者が就労できない。中には、ノイローゼを起こしてとうとう職場をやめた人が、私どもの方の神奈川の浜川崎の機関区にも出ておるわけです。一体こういうことがどうして起きるのか。



[049]
日本共産党 石母田達
それでは、やはり職場の動労革マル派による暴力事件の一つの事例として、私は国鉄の青森機関区の問題を取り上げたいと思います。

この問題については、わが党の梅田議員が直接現地を視察してまいりまして、そしてまた質問も発し、国鉄当局からもその回答をいただいております。私は国鉄総裁に、昭和48年4月以降、国鉄の青森機関区において発生した暴行等の事実について、どういう状況であるかお伺いしたいと思います。

[050]
説明員(大蔵大臣官房審議官) 藤井淑男
お答え申し上げます。

国鉄に関するものは、御指摘のように、青森機関区というものを中心にしてこういう遺憾な事件が起こったということでございます。御承知のように国鉄には、動力車労働組合、動労と称しておりますが、これと、全国鉄動力車労働組合連合会、全動労、こういう2つの組織がございます。この2つの組織がいざこざを起こしまして、いわゆる管理者、監督者をも引き込んで、昨年の4月以来68回ぐらいこういうトラブルが起こったということが全貌でございます。

具体的に申し上げますと、全動労の青森支部に属する職員を動労の組合員が、詰め所か何かで取り囲んで追及をやるとか、あるいは説得をやるとか、いやがらせをやるとか、こういうことをいたしまして、これをとめに入った監督者側も引き込まれたということでございます。かかることはきわめて遺憾なことでございますので、私どもとしてはあらゆる手を講じて、これがうまくおさまるように努力した結果、遺憾ながら、4月に起こりましてから68件去年起こっているのでございますけれども、6月から8月ぐらいは、大体おさまりかかっておったのでありますが、年度末になってまた少し起こってきたということでございます。職場であらゆる努力をいたしました結果、昨年の12月から1月にかけては大体おさまっておるというような状況になりました。

今後とも、こういうことを起こしますと、職場の機能は麻痺するのみならず、私どもの輸送の業務というようなことも完遂できないことになりますので、厳にこういうことが再び起こらぬように努力をいたす次第であります。

詳しく何月何日にいかなる事件が起こって、どういう処置を講じたかというような御質問が仮におありでしたら、労働担当の理事も参っておりますので詳しく申し上げますが、大体私としては以上申し上げます。

[051]
日本共産党 石母田達
あなたの国鉄の方から梅田議員に対する回答ということで、ここに回答書があります。「昨年4月以降の青森機関区における暴行等の事実について 現場管理者及び局派遣者の報告を整理すると、昭和48年4月以降の暴行等を含むいやがらせ事件は68件に及んでいる」ということで、4月には14件、5月には何件という具体的な事実がすべて書かれておる。あるいは5月に起こった事件の中では、全治3週間の傷害を車両検修掛が受けた事実も報告されておる。中には、あなたの方で、助役などの管理職の人が暴行を受けて告訴しているということでありますけれども、その告訴の事実についてはどうですか。あるいはまた同時に、この問題であなたたちがとった特別の措置があれば、その措置も含めて報告していただきたいと思います。

[052]
説明員(日本国有鉄道常務理事) 加賀谷徳治
青森機関区におきまして起きました暴行事件は、ただいま総裁が非常にかいつまんで申し上げましたとおりでございまして、大体、説得、追及行動という形で、しかも非常に少数の人を多数で取り囲んでやるというようなパターン、それに対して助役が、その業務に支障を与えることもございますし、そういった行動については芳しくございませんので、そこへ割って入る。したがって、多数と少数の間でございますので、ついもみ合いとなる、けが人が出るというようなパターンで、程度の差はいろいろございますけれどもあったということでございまして、ただいま申し上げましたように、4月からそういうことが少しずつ起こってきた。これは春闘というような違法なストライキなんかやられておりますときには、現場が多少エキサイトするというような関係もありまして、その辺から出てきて4月、5月とかなり起こった。それに対して現場の管理者は最善の努力をして、それを防止すべくやったということになりますが、ただいまの総裁の説明のあったとおり、6月から8月にかけましては大体小康を得た、こういったようなことについても、よくないことだという反省があったのじゃなかろうかというような傾向も出てまいりましたのですが、9月以降、合理化反対闘争、あるいは11月になりますと、例の多少政治闘争のようなものもございましたし、それからインフレ手当の闘争といったような、一連のそういった現場におきます違法なストライキが続いた時期がございますが、その辺からまた多少その問題がぶり返してまいりました。

具体的に一つ申し上げますと、たとえば9月の18日に、修繕庫、これは車を修繕するところでございますが、そういったところにおりました休憩中の全動労組合員数名に対して、多数の動労組合員が説得、追及行動と称して取り囲んでやったわけでございまして、これを見てすぐ管理者は制止しようとした。そのときに、管理者、それから全動労組合員の間のもみ合いとなりまして、管理者4名、全動労に所属する職員6名、約10名のけが人を出したというようなこともございました。

それから、11月19日、フォード来日反対、それから私鉄支援闘争といったような行動で違法なストライキが行われた日でございますが、この日にやはり、いまと大体同じようなパターンで、午前中に連続的に3回も繰り返された。いろいろ管理者、それから局の人間なんかも、あらかじめそういう時期でございますから、現場へ動員いたしまして、極力警戒に当たり、この説得をし、阻止するというような態勢をとったのでございますけれども、残念ながら最終的には警察の導入というような形でその事態が回避されたということになっております。

以後何件か起こっておりますが、いろいろな意味で、現場の処置としましては、これはいろいろな状況判断がありますが、職場のもめ事、職場内の問題でございますし、いずれ職場の中で一緒に働いてもらわなければならぬという者でございます。もちろん職場の規律をきちんとするというためには断固たる処置をとるという方針は変わりございませんが、その実情に応じて事を処していくということをやっておったというふうに、私ども最善の努力をしておったというふうに考えておる次第でございまして、その後12月ごろからだんだん進んでまいりまして、1月に入りまして最終的にかなり厳重な行政処分を行っております。停職5名、減給10名、それから戒告2名、17名のの、これはかなりきつい処分を行っております。

処分後、大体いまのところは落ちついているというようなことでございまして、多少時間がかかっておるようでございますけれども、その現場の特殊事情に応じて、こういったことを再び起こさないような状態にするということも一つの大きな目的でもございますので、大体処置としてはよくなされておるのではないかというふうに考えます。

それから告訴、告発の件でございますが、管理者の4名は告発をすでにしております。それから全動労に属します職員につきましても告訴、告発しておる者もございますが、まだそういうことに至ってない者もあると聞いております。これにつきましても、事実上本人の意思あるいは組合自身の意思といったようなものを尊重して行うべきものであるというふうに私ども考えますので、そういった者の意思を尊重しながら、全体の状況を勘案して対処してまいりたいというふうに考えます。