昭和50年06月24日 参議院 文教委員会

[101]
日本共産党 小巻敏雄
去る3月来、日本の教育界で大学教育が大きな比重を占めていると、こういう現状の中で、法政大学、早稲田大学等でしばしば授業日数が失われ、ゲバルトの名のもとに多くの学生の学ぶ権利が奪われる、暴力がばっこするというような問題について、大臣の所信もただすところがあったわけですけれども、前進をした答弁をいただいたと思っておりますが、従来に比べて。にもかかわらず、現実の方が改善十分にされておるとは思えないという事実がございます。

引き続いて、大阪で具体的に起こっておる大阪市立大学の問題について御質問をいたします。

まず最初に、6月4日朝7時40分ごろ、ここで革マルと中核の争いが発生をして、ここで3名の死者、3名の重傷者を出しているというようなことが新聞紙で報道されておったわけであります。

この件について、ひとつこれは先に警察の方にお伺いをしておきたいと思うわけですけれども、事件の概要と、そこの捜索、どういう凶器がどこでどのぐらい出てきたのかというような問題、そして、その前後の事情、状況等について簡潔にお伺いをしたい。

[102]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
お尋ねの6月4日の大阪市立大学における内ゲバでございますが、同日の午前7時半ごろに通行人の方からいま長居公園で着がえをした白ヘルの30名ばかりが鳳行きの電車に乗ったという110番が入りました。そこで、これは大阪市立大へ向かうのではないかということで、直ちに所轄の住吉署員、これを市立大へ向かわせまして状況を見さしておりました。同時に、杉本町駅で降りることになりましたので、機動隊1個中隊を直ちに阪和線の杉本町駅付近に急派して検問実施、警戒に当たらせようとしたわけでございます。

その結果、7時50分ごろになりまして、市立大の構内に、革マル派と後には判明するわけでございますが、白ヘルの集団が30名余り入っているということがわかりました。

そこで、直ちにこのことを視察員が報告かたがたさらにその動きを見ておりましたところが、8時10分ごろになりまして、突然教養部の三号館の中から、後に中核派と判明いたしますが、中核派と見られます集団50人ばかりが飛び出しまして、いきなり持っておりました鉄パイプ等で革マル派集団に襲いかかったわけでございます。この両者はそこで乱闘になるわけでございますが、視察員はこの状況を見まして直ちに応援を求めたわけでございます。

そこで、まず府警では所轄署から部隊を出し、さらに杉本町に到着して検問に当たろうとしておりました機動隊を急いで配置転換をするということで、8時23分ごろに機動隊が現場に到着いたしました。それで直ちに同大学の構内に入りまして、倒れております者の救護、それから乱闘をやりました者どもの逮捕に当たったわけでございます。6人倒れておりまして、これを病院に収容いたしました。これはいずれも革マル派でございましたが、そのうち2人が間もなく病院で絶命をいたしました。もう1人は翌々日の6月6日に、これも亡くなっております。さらに残りの3人は重傷という状況でございます。

一方、逮捕の方でございますが、乱闘を終わり、警察部隊の出動で逃走しておりました被疑者のうち5人を建造物侵入、暴力行為等処罰に関する法律で現行犯逮捕をいたしまして、それぞれ送致をいたしております。

なお、捜査の方でございますが、警備部長を長といたしまして特別捜査本部を設けまして、これは約100名の態勢でやっておりますが、目下鋭意捜査中でございます。

それで、この先ほど申し上げました5名は革マル派であったわけでございますが、その後さらに中核派の1名を、これも殺人、殺人未遂、凶器準備集合罪ということで逮捕をいたしまして、これは現在勾留をつけて取り調べ中でございます。

なお、押収捜索の状況についてお尋ねでございますが、同日の午後、大阪地裁の裁判官から押収捜索許可状と検証許可状をいただきまして、大学の教養部の構内、これを差し押さえ、検証いたしました。その結果、教養部のボイラー室2階のロック研究室から鉄パイプ52本、そのほか現場周辺の教養部構内の芝生正門付近から鉄パイプ73本、旗ざお114本、ヘルメット38個など、合計1800点の品物を押収しておるという状況でございます。

[103]
日本共産党 小巻敏雄
この逮捕をし、送検をされた者は、革マル派が5名と、それから中核が1名、こういうふうに言われたのですね。

[104]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
そのとおりでございます。

[105]
日本共産党 小巻敏雄
それの中には学生がいるのか、いないのか、氏名もここで明らかにされるなら、してもらいたいと思います。

[106]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
革マル5名でございますが、これは1人だけ名前が判明しております。これは学生ではございません、33になる男でございます。あと4人は氏名不詳でございます。

[107]
日本共産党 小巻敏雄
それで現在も勾留中ですか。

[108]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
これは6月6日に処分保留で検事釈放になっております。

[109]
日本共産党 小巻敏雄
氏名不詳のままで釈放したわけですか。

[110]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
さようでございます。

それから中核派は、これは勾留中でございますが、これは阪大の工学部中退28歳になる男でございます。

[111]
日本共産党 小巻敏雄
この押収された場所なども、一番初めのところはボイラー室付近というのがあったですね。

[112]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
はい。

[113]
日本共産党 小巻敏雄
これは大体黒ヘル、中核のアジトになっているところじゃないですか。

[114]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
この教養部のボイラー室というのは、三号館東側の別棟、そこの2階に音楽の研究室がある、その音楽研究室から鉄パイプが発見されておると聞いております。黒ヘルのアジトであるというふうに私、ちょっと聞いておりません。



[125]
日本共産党 小巻敏雄
しかも、その後、5日、6日には引き続いて事件が起こっておるわけであります。特に5日には、暴力一掃のためにというので、ようやく全学的に暴力一掃の空気が広がるという状況の中で、クラス内で討論をしておるところにさらに暴力の者たちが入って暴行をふるっておる。

6日には、初めから予定をされておった中核派の集会、こういうものは、大学当局は当然解散させるべきでありますけれども、この状況に対して、不当な者に対して貸した会場の取り消しをするのではなくて、授業を一斉に中止をしておるわけですね。

こういうふうな状況で、全体の授業を非常に安易に切ってしまって、そうして正義の立場から暴力一掃に立ち上がる学生、こういう力が伸びてくれば、自治会再建の方向も必ず生まれてくると思うのでありますけれども、それに対する態度と中核、革マルに対する態度に非常にあいまいなものがある。これらの点につきましては、6点の指導、これは市大のいままでの指導で足りないところをかなり補うものがあると思いますので、その後、的確な御指導をされて、報告を求めて、一層指導を強化される必要があるだろう。

なお、特に市大の場合には、この教官の一部あるいは事務所にもこれらの諸君と心を合わせるような要素があって、公然たる中核は殺人犯ですから、森というような赤軍派の学生もここから出てきておるわけですからね。これに対して、中核はいけないけれども、黒ヘルは中核でないとか、さまざまなことで学生の暴力が温存をされている、こういう面について厳正な指導をしてもらわなければならぬということを強く求めて、次に移ります。