赤レンガ闘争 ~ 東大病院精神病棟占拠事件

昭和47年04月03日 衆議院 予算委員会
[198]
日本共産党 松本善明
私はここで、非常に重大な事例として、東京大学の医学部の附属病院の精神神経科病棟がトロッキスト暴力集団によって、2年有半の長期にわたって占拠をされて、正常な大学病院の病棟としての機能を失っているという事実を指摘をして、質問をしたいと思います。

東大病院の精神神経科病棟は、44年の9月8日以来、この暴力集団によって占拠をされて、神経科長ですね、正式の教授以下正式の職員が10数名、正規の教官、医師、看護婦などが入棟することができない、こういう状態になっておる。これは東大病院長自身に私も確かめているが、東大病院長も入っていない。この病棟に出入をできる正規の職員というのは医師が講師と助手で2名、看護婦は3名、これは病院長も確認をしております。夜はこの精神神経科の病棟に16名の患者が入っていますけれども、正規の職員は1人もいない。これも病院長は確認をしています。こういう事態を総理大臣はどういうふうにお考えになるか、この点をお聞きしたいと思います。

[199]
文部大臣 高見三郎
私が主管大臣でございますので、私からお答え申し上げます。

実は、東大の精神神経科の病院の問題につきましては、御指摘のとおり、44年の9月から、昔、赤れんがと申しておりました旧別館に、何と申し上げますか、東大精神科医師連合という1グループが教授、学生ともに立てこもりまして、13人であったかと思います、数字はちょっと違うかもしれません、13人であったかと思いますが、患者を擁していわゆる自主管理に移っておるのであります。

この春、2月でありますか、1人の入院患者をめぐりまして、入院患者1人をふやすということになりまして、看護婦は、われわれはそんなものは見きれないというので13人、新館の別棟のほうに、外来のほうへ移りました。問題は、まことにけしからぬ話だと思いまするけれども、大事な患者を擁しておることでありまするのでどうにもなりません。だから、大学当局の自主的な解決というものをひたすらにこいねがっておったのであります。ところが学長の立場になりますると、これは医学部長の問題であるし、医学部長の立場になりますると、これは病院長の問題だというような、まことに手ぬるい話であったのであります。(「そんな学長、首切っちゃえ」と呼ぶ者あり)

問題は、御承知のように教育公務員特例法の関係がありまして、つぶしちまえという御意見も出ましたけれども、そう簡単にはまいりません。そこで私は、何とかしてこの両集団が同じテーブルに着いて話し合いの場を持つことをひたすらにこいねがっておったのであります。これがなかなかできないで、一方の外来病棟の学生、教授が病院長と折衝すれば、また団交を赤れんがのほうがやるというような状態で、同じテーブルへ着いての話し合いというものがなかなかできなかった。

ようやく3月の16日に至りまして、病院長を中心といたしまして両派が同じテーブルに着いて意見を交換することができる状態になりました。もうしばらく推移を見守ってみたいと思います。私は、大学の自主性を尊重する意味で、できるだけ手荒なことは避けたいと思っております。しかし、このことは実は東大の名誉に関することであるし、ことに東大の歴史の古い医学部の名誉に関することであります。

せんだっても、あなたのほうの津川先生の御紹介で武蔵療養所長がお見えになりまして、この間何とかしてくれぬかというお話がありましたその翌日、実は両方で話し合いの場につくということになりました。もうしばらくの間、時間をかしていただきたいと思います。必ず解決をいたしたいと考えております。

[200]
日本共産党 松本善明
私は、結論だけ総理にお聞きしたいのですが、正式の教授、科長、こういう人たちを含めた職員が大学の中に出入りできない、神経科の教授が。

そういう事態は許せることだというふうにお考えかどうか、これ一言だけお聞きしたいと思うのです。

[201]
内閣総理大臣 佐藤榮作
職員自身が自分たちの職場に入れない、そういうことがあってはならないのです。ただ、どうもいろいろ先生方には先生方の主張があるようですから、ただいま文部大臣が話をしておるように、それぞれが十分話し合って、そうして手荒なことをしないで解決する、こういうことのようですから、しばらく模様を見たいと思います。

私は、どうも共産党の方にしては御迷惑で、あるいは代々木派だとか反代々木派だとかいろいろいわれる、どうも代表的にそういう扱い方をされる、そういうことではずいぶん御迷惑だろうと思います。あるいはML派あるいはまた連合赤軍、それらのものが日本共産党からは政府が泳がして
いるのじゃないか、こういうようなお話がございますけれども、さようなことはございません。過日も本会議でいろいろお話がございましたが、むしろこういう事柄に関係がないということをはっきり認められている政党、その立場においてはっきりされることが望ましいのではないだろうか、かように私は思います。

[202]
日本共産党 松本善明
まじめな質問をしておるので、先回りをしてお答えいただかないように、混乱するといけませんから。そういうふうにお願いしたいと思います。

この占拠以来2年半にわたって、精神神経科病棟での学生の実習とか研修医の実習とか研究室の研究活動が一切行なわれていないのです、この2年半に。

このことによって、昭和45年から本年3月に至るまで、290名の学生が病棟における臨床実習をしないまま学業を終えて、医師として社会に巣立たざるを得ない、こういう事態になっておるのです。

さらに現在は、その在学生100名以上がこのために臨時カリキュラムを余儀なくされている。研修医の病棟実習ができませんとか、あるいは研究活動を正常にできない。これは、日本の精神神経学界に及ぼす否定的な影響もはかり知れないものがあると私は思います。

この2年半にわたってそういう異常事態が起こっておるということについて、一体文部大臣や厚生大臣はどういうふうにお考えになるか、文部大臣は特に責任はどう感じておられるのか、これを伺いたいと思います。

[203]
文部大臣 高見三郎
御指摘のとおり大学というところが暴力の府になっておるということ、これほど残念なことはございません。ただ、私は大学の学問の自由というものについては身をもって守ってやらなければならないと考えております。いま御指摘のように、実験、実習の機会がない学生につきましては、他の病院等に委託をいたしまして実は実験、実習の場を与えておるというのが実態でございまして、先生御指摘の学校ではできないじゃないかと言われますならば、そのとおりであると答えざるを得ないのでありますが、しかし、それに対応するだけの措置はとっておるつもりであります。

[204]
厚生大臣 斎藤昇
私は、医学教育は文部省の所管であるからといって放置するわけにはまいらない、かように考えております。文部大臣とよく協議をいたしまして今後の卒業生の扱い等の処置を考えたい、かように考えます。

[205]
日本共産党 松本善明
2年半にわたってこういう異常事態が続いておるということを、単にほかで実習をしておるとかあるいはいま話し合いをしそうだというようなことで一体済ましていいのかどうか。一体こういうような正規の職員を入れない、自分たちだけかってに占拠をしておる、こういう者は学内で処分の対象となるのではないか。場合によっては犯罪となるのではないかとさえ思いますけれども、その点については文部大臣はどうお考えですか。

[206]
文部大臣 高見三郎
事柄はセクト間の争いなのであります。だから両方のセクトが同じテーブルに着いて話し合いができるという事態ができたという事実で、いましばらく、かすに時日をもってしていただきたい。

いままでは三派系で占拠いたしておりましたその連中が、ようやく話し合いの場につくことになったのでありますから、これで問題の解決の糸口がついた、私はかように考えて事態の推移を見守っておるわけであります。

[207]
日本共産党 松本善明
そうすると、セクト間の争いであるということを簡単に言っておられますが、そういうことであるならばそういう暴力で占拠をしていてもよろしい。――2年半も占拠をしておる。そうして学生の実習も妨げる、こういうことが正当化されるのですか。それは、文部大臣は責任をとらなくていいのですか。あるいは病院長なり学校は、それは知らぬ顔をしていていいのですか。

[208]
文部大臣 高見三郎
最善の努力を今日まで尽くしてまいりました。そうして、ようやく話し合いが共同でできるような状態をつくったのであります。私はこの機会に申し上げておきたいことは、大学の自治を最も強く主張せられておった松本先生でありますから、この間の事情は御理解をいただけると思います。

[209]
日本共産党 松本善明
だからこそ、大学の自由を守り学問の自由を守る、研究活動の自由を守るために、暴力でそれを阻害をしておる者をどけることを主張しているわけです。

一体大学の自治の理由のもとにそういうような――正規の教授ですよ、責任者ですよ。責任者、ここでいえば、予算委員会でいえば予算委員長ですよ。それの入ることを2年半にわたって阻止をする、そういう者と話し合いをしていくというのが基本的な態度ですか。

それは学内の規律の保持という観点からしかるべく処分をしていくという態度、そういうことは許されないという態度を明確にするということがまず必要なのではないか、この点をお聞きしたいと思ます。

[210]
文部大臣 高見三郎
御審議をいただいてすでに成立しておりまする大学の臨時措置法によりまして、たとえば東大の医学部に休校を命ずるということができないわけではないと思います。しかし問題は、旧病棟に立てこもっておりまする数はわずかに10数名であります。そのために全医学部に休校を命ずるというわけにはまいりません。その辺の事情もお察しをいただきたいと思いまするし、私は、大学の自治を尊重して、大学自体が問題を解決するのが当然の行く道であろう、かように考えておるわけであります。

[211]
日本共産党 松本善明
人数が少ないからといって暴力をふるって入れないということになれば――入れないのです、現実に。あなた認めたでしょう。総理大臣、文部大臣はあの態度でいいのですか。私は、まず何よりもそういうような暴力で占拠をするというようなことは許せないという態度を断固として文部省も、それから学校側もまず声明することが必要だと思うのですよ。休校しろなんて言ってないですよ。その点はどう思いますか。

[212]
内閣総理大臣 佐藤榮作
松本君のお説に私、全面的に賛成でございます。右だろうが左だろうが、暴力によって大事な教室を占拠する、さようなことは許されません。

[213]
日本共産党 松本善明
文部大臣、いまの総理大臣のお話では、私はこの点では明快だと思います。これは大学の自治と関係ないですよ。犯罪者なり処分の対象となるべき者、それに対して文部大臣、いまの総理の発言のあとを受けてどういうふうにされますか。

[214]
文部大臣 高見三郎
私は、いかなる場合でも暴力を否定するということを最初に申し上げました。そこで、この状態を解決する道は、医学部、病院長のもとで両者がお互いに話し合いをし合うという場を持つまでが一番大事なことであると考えて、今日まで努力をいたしてまいりました。3月16日に至りましてこの場を持つことができるようになりました。それで、もうしばらく様子を見守ろう、かように考えております。

[215]
日本共産党 松本善明
この問題は、非常に大事な問題なのでもう少し論じておきたいと思いますが、意見が違っても――セクトということを言われた、両派が話し合うということを言われたが、意見が違っても、暴力を使わなければ同じ教室の中に入っていって意見を一致させることもできるし、あるいは意見を一致させないで、そのままでおってもかまわない場合もあるわけです。暴力を使うというところが問題なんです。その暴力的な占拠をまずやめさせるということから事が始まるのじゃありませんか。話し合いはもちろん必要でしょう。それは学術等の対立もあるかもしれないので、それは話し合いも必要でしょう。しかし、暴力をふるっている限りにおいては、これは学徒として扱うわけにいかない。そこのけじめをはっきりすることが必要ではないかということを言っておるのです。いかがですか。

[216]
文部大臣 高見三郎
いまの意見について、暴力を使うということを私は肯定しているわけではありません。暴力を使うということは、いかなる場合でも許すべきことではないと思っております。ただ、ようやく話し合いの糸口がついた、しばらく時間をかしていただきたいと、かように申し上げておるのであります。

[217]
日本共産党 松本善明
いまの私の意見について、総理大臣の御意見を伺いたいと思います。

[218]
内閣総理大臣 佐藤榮作
ただいま文部大臣も申しておりますが、気がついたのがおくれた、いままで2年たっている、こういうようなお話も出ておりますが、とにかく、いま話し合いで問題を解決しようと努力しているのですから、その意味でしばらく時間をかしてくれ、こういうことですから、これはそのくらいの民主的な余裕があってもしかるべきかと思います。

[219]
日本共産党 松本善明
基本的な考え方としてもう一度確かめておきますが、暴力をふるうことが問題なので、意見の一致をするために話し合うのはもちろん当然のことだ、しかし、その暴力的な占拠を解除させて、それをまずやめさせるということが前提だ、この点について総理の御所見を伺いたい。

[220]
内閣総理大臣 佐藤榮作
大体私は、松本君と同じように思っております。

[221]
日本共産党 松本善明
そのように実行を文部省が必ずするように要求をしたいと思います。





昭和47年04月21日 衆議院 文教委員会
[071]
日本共産党 山原健二郎
さらに、これは赤れんがと呼ばれておるわけでありますけれども、大臣がこの前答弁しておりましたように、セクト間の争いとか見解の違いによる争いではもうないと私は思うのであります。そのことを実証したいのでありますけれども、ここに彼らの出しておる新聞があります。これは「全日本医学生新聞」ですね。この医学生新聞によりますと、この赤れんがは三里塚闘争の出撃基地である、東大闘争の出撃基地であるということをはっきり書かれております。さらに、この赤れんがをどういうふうに言っているかといいますと、「赤れんがは、文字通り、全国、全人民にひらかれた「根拠地」である。」これを死守しなければならない、こういう考えに立っているわけです。

こういう考え方でこの病棟を占拠しておる連中と話し合いをして問題が解決できるなどという甘い考え方は持つべきでないと私は思うのです。さらにここへ、この病棟に出入りをしておる10数名の医師その他について調べてみました。これは病院長からいただいたものです。この10数名の中に、たとえば三吉譲という医師は一体どういう人物かというと、これはかって昭和43年の東大紛争のときに、読売新聞の谷川記者に暴行を加えて逮捕されておる人物です。谷川記者を階段から突き落とす、あるいは友人が谷川記者を羽がい締めにしてそれをなぐるという暴行を加えた首謀者なんです。これが現在出入りをしておるというのが実情であります。

さらに、この病棟に出入りしている者の中に寺岡慧、合田静というものがおります。これは東大の寺岡は小児科の医師です。それから合田は老人科の看護婦であります。この2人については名前を聞いておわかりだと思うのですが、これは今度の連合赤軍派事件のときに中村愛子という人物から頼良ちゃんという子供を預かった人ですね。これは新聞にも出ましたから私も名前を出したわけでありますが、2月の7日に頼良ちゃんを預かりまして、そうして実に35日間この子供を預かっているのです。一方では連合赤軍問題でああいうことが毎日毎日テレビ、新聞で出されている状態の中でこういう状態です。だから、この経過から見ましても、連合赤軍、中村愛子、合田、寺岡というつながりが出てくる。こういう者がこの神経科の病棟に出入りしておる、そうして占拠しているのですよ。こういう状態です。

さらに、本年の3月1日に病院長が採用しました木村和子という看護婦がおります。これは神経科病棟に3月1日に採用になっているわけです。これは院長も、この採用にあたっては、占拠医師側から要求されて採用したのだと思いますけれども、この人物がどういう人物かと申しますと、これは45年に佐藤訪米阻止のときに上京しまして、これは関西のいわゆる暴力学生集団の一員であります。そうして昨年の10月主人と別居して上京しまして、3月1日に採用になっているのですが、この主人も京都大学における共産同赤軍派に属しておるわけです。こういう状態ですね。

だから、こういう形で自分たちの主張に従わない者に対しては暴力をもって排除する。これは話し合いで解決できるようなものでは私はないと思うのです。しかもこの前の質問のときに、後藤田長官が答弁しておりますように、赤軍派は凶悪犯罪者の集団となっているという答弁がなされているのです。私はこの限りにおいてはこれはまさに的確な表現だろうと思うのです。たとえば今度出ました読売新聞の4月16日の警察官殺しの竹本という京都大学の助手をしておる人物ですね、これが麻薬あるいはブルーフィルムですか、そういうものを販売して資金をかせいでおるというようなことを考えてみますと、これは黙認できるような状態ではありません。





昭和47年06月06日 参議院 文教委員会
[206]
日本共産党 加藤進
それではお聞きしますけれども、東大精神科病棟のいわゆる赤レンガと称せられるところにはどういう連中が巣くっていますか、御存じですか。これは浅間山荘の連合赤軍の関係者が入っておるのですよ、連合赤軍の関係者が。そうして、その連中のために正規の教職員さえこれに近づけないのです。こういう事態を現に目の前にしておきながら、お互いに話し合いのテーブルにつかせるとは、どういうことですか。大学は被害者ですよ。被害者としての大学学生諸君に対して、加害者であり凶悪な犯人に対して、同じテーブルにつかせるというのは、一体どういうことを考えておるのですか。一体、文部省は、犯罪者と認めておらないのじゃないですか。殺人をあえて犯す、人を殺傷する、殺傷するばかりか、大学の器物を破壊する、こんなことがやられておっても、なおかつ学生という籍があるからということだけで一学生としての取り扱いしかできない、こういうところに文部省が今日の事態を引き起こしておる大きな原因があるんじゃないですか。





昭和50年02月26日 衆議院予算委員会第二分科会
[308]
日本共産党 山原健二郎
あと残されました時間でもう一つの問題、これもしばしば私どもが問題にしてまいりました東京大学の精神神経科病棟の問題について質問したいと思いますし、私の方もこの問題については一つの具体的提案をいたしたいと思っています。

69年の9月8日以来すでに5年6カ月を経過して、この精神神経科病棟は異常な状態に置かれたままになっています。医師、教授25名、看護婦12名、看護助手2名、この人たちが職場に入ることが5年6カ月にわたってできておりません。

それからこの精神科病棟において臨床実習をして卒業していく東大の医学生の数ですね。この占拠のために、臨床実習ができないまま卒業していく学生の数が、いままで計算をしてみますと約600人、こうなっています。

それから患者の方たちで、入院治療を受ける方たち、これはそのまま入院できない状態に置かれているわけですね。こういう状態でございますが、この状態について文部省はどういうふうに把握されておりますか。私の言ったこと、間違いでしょうか。



[310]
日本共産党 山原健二郎
いろいろ苦労されていることはわかりますけれども、学生を分院で勉強させるとかということ自体は、学内にちゃんとした病棟があるのに、それでやれないということが、しかも5年6カ月続いているわけですからね。しかも正規の医師や看護婦が入れないという事実、これは打ち消すことのできない状態でございます。

そして私は、文部省の方に、国公立、私立の大学の建造物、機関などが占拠されている状況を御報告していただきたいということで、予算委員会の資料提出項目に出したのです。ところが出てきたのは、国立大学では事務室の一部占拠が1カ所だけだ、こういうのですね。聞いてみますと、京都大学の事務室が1カ所だけ占拠されている、ほかには全国立大学では全くない、こういうことです。あるいは私学にしましても、占拠されておる場所が5カ所、こういうふうになっています。

けれども、先ほど言いました法政大学における学生会館の問題とか、あるいは前の東京大学の病院長の吉川さん、この方が、一昨年の3月29日、おやめになる直前でございますが、そのときにこういう声明を出しておられます。「病院長として、精神科の職員である医師、看護婦、看護助手が職場(精神科病棟)にたちいることすらできず、医学生、看学生の精神科病棟実習ができず、多くの患者さんの入院治療の環境と機会もそこなわれる状態を改善できず、東大病院の公的機能である医療と教育研究に多大な支障をきたし、責任を果たせなかったことを反省し深くおわびする。昭和48年3月29日 東京大学医学部附属病院長吉川政己」こういう文書が出されています。異常なことはこれは病院長も認めておられるわけで、その状態が続いているわけですね。

それから、同時にこの問題につきましては、72年の4月以来数度にわたって、松本善明議員、津川武一議員、私が質問をしましたが、依然として改善をされていない。当時、佐藤総理大臣も、高見文部大臣も、話し合いで解決しようとしているから時間をかしてほしい。あるいは私に対しましては、もう間もなく解決するからもう少し待ってもらいたいというお話がありました。しかし、あれから考えてみますと、3年、2年と、こうたっておりまして、依然と改善をされていないわけなんですね。

それで、病院長、学部長が話し合いをするといいますけれども、一体どういうことなのか。たとえばこの病院の中におるのは、石川清という講師が正式な東大病院の職員であるだけなんですね。ほかの者はそうじゃないんです。たとえば、現在出入りしております。これは医師といいましょうか、そういう資格もどこで確認するかちょっとわかりませんけれども、花岡という人物がおります。それから、富田という人物、ほか3名おるわけですけれども、もう1人の人物は、医師の免許すら持っていないという状態でございますが、これが昨年の12月12日に、外来病棟にまで参りまして、花岡、富田ら10数名が医師、研修医に突然襲いかかりまして、顔面をなぐったり壁に頭を打ちつけたりするような事態が起こっています。昨年の6月6日にも、害虫駆除に入った職員が追い出されるというような状態も起こっております。

そして、この花岡という人物を調べてみますと、何と3年前から法務省の職員なんですね。これはお調べになったらわかりますが、八王子医療刑務所の職員で、恐らく医師として勤めておると思うのです。こういう全くの部外者がこの病棟内におって、これと交渉するなんて、交渉する相手でも何でもないわけです。そこらが全く間違っているわけですね。東京大学の職員でも何でもない。そして暴力を使う。しかも、これは、別の国家公務員、法務省の職員ですよ。お調べになったらわかります。私は不思議に思って調べてみたんです。法務省の八王子医療刑務所の職員なんです。こういう者と何の話し合いができるのですか。そんなことでどうして問題が解決するでしょうかね。

しかも、ここに対して病院長は入院を認めている。正常な治療機関でもない、しかも学外者、医師であるかどうかもわからない、そういう者が占拠しておるこの病棟に対して、患者を入院さすことを認めている。そこに問題があるわけです。そしてそれに対して、心電計とか大型カラーテレビその他を買い与えていく。不法占拠している者に対して、しかも東大の職員でない者に対して、ちゃんと経費は出している。国の予算を出している。そんなことが行われれば、いつまでたっても解決しないわけです。第一、話し合うべき相手ではないじゃないですか。どうしてそんなことが明確にならぬのでしょうか。暴力がこわいからですか。やはり、私はその点はきちんとしなければならぬと思いますよ。その点、局長どうですかね。





昭和53年02月22日
[140]
日本共産党 山原健二郎
しかも、これは前にも私は指摘をしたのですけれども、この建物が、いわゆる過激分子と言いましょうか、連合赤軍などを含めた連中の拠点になっている、出撃基地にもなっている、こういう状態で、これは1月30日のサンケイ新聞の、占拠のただ1人の職員であります石川という講師の発言によりましても、かつて連合赤軍の2人が武器を持ってやってきたというようなことを言っておりまして、年末になると越年闘争と称して山谷住民が大挙して寝泊まりをするとか、こういう事態が続いているわけですね。

しかも、東大の文学部長室占拠のときやあるいは演習林の封鎖のときなどにも、学内の闘う拠点であるという言い方をしています。これは本年の1月31日付の、彼らが精医連と称しております精神科医師連合のビラを見ても、学内の闘う拠点としてこれを自認しておるという状態でございますから、これは大変な事態で、しかもこれはいつまでたっても解決しない、こういうことですが、私は、こういう事態をどう解決していくかという問題をお互いに論議しなければならぬところだと思います。

確かに、要するに暴力をいつでも行使する状態にあるわけですから困難ではありますけれども、しかし、どうやって解決していくかということについて文部大臣はいま何らかの方法を持っておられるか、伺っておきたいのです。



[142]
日本共産党 山原健二郎
そういう事態をどうしてもつくらなければならぬわけですが、ここでまず、文部大臣のおっしゃる、いわゆる暴徒というようなものが不法に占拠しておるのだというこの認識が大学当局にあるんでしょうか。そういう見解に立っているんでしょうか。この点に私は非常に疑問を持っておるのですが、その点どうでしょうか。これは大学局長からでも結構ですから……。

[143]
政府委員(文部省大学局長) 佐野文一郎
東大の医学部あるいは病院当局は、現在の事態がきわめて異常、かつ不正常なものであるという認識は持っておりますが、不当な占拠であるという認識を持っておるとは思いません。

[144]
日本共産党 山原健二郎
私はいままでずっとこの問題を取り上げてまいりまして、この問題の解決ができない一番の中心はここにあると思うわけです。こういう8年間異常な事態を続け、入ろうとすれば暴行を加えられて入れないという事態、中におる患者の診療がどういうふうになされておるか把握もできないという状態の中で、なおかつこの占拠しておる部分に対して的確な評価といいますか、そういうことさえ明らかになっていないところに、この問題がいつまでたっても解決しない原因があるわけです。

だから、むしろ私は、いまこの国会に至りまして、砂田文部大臣が言われておる彼らに対する見解と大学当局の見解が一致することが必要だと思うのです。その話し合いがなされなければ事態は全く前進しないわけでございますが、その点について大臣としてどういうふうにお考えになるのでしょうか。

[145]
文部大臣 砂田重民
一つの目的を持ちまして国庫資金が投入されて建設された建物が、まさに国有財産が、その所期の目的のとおりに使用されていないという事態はまさに異常な事態でございます。私はそういう認識を持っておりますし、大学当局にもそういう認識を持っていただくように努力をしているところでございます。

[146]
日本共産党 山原健二郎
大学局長がおっしゃいましたように、大学当局としては不当な事態ではないという、こういう見解ですね。もう一回正確に。

[147]
政府委員(文部省大学局長) 佐野文一郎
医学部あるいは病院当局は、現在の事態がきわめて不正常あるいは異常な事態であるということは十分に認識をしておりますけれども、いわゆる不法な占拠であるという認識はいたしておりません。





昭和53年04月11日 衆議院 決算委員会
[277]
日本共産党 安藤巖
そこで、私がそのことで申し上げたいのは、精医連という団体を一体どういう団体だと認識しておられるかということなんです。

私がここに持っておりますのは「月刊労評」という機関誌なんです。この「労評」は、ことしの3、4月の合併号、だから3月26日の成田の暴力行為の後と思われるのですが、たとえば「3・26 三里塚空港阻止全国結集大集会」ですか、管制塔占拠の報告が入り歓声が上がって大成功だという記事を載せておるのですね。そして東大の精医連はこの労評の1周年記念に対して「労評1周年へのラブレター」というものを出して「赤レンガ病棟自主管理闘争が10年目を迎える日、満2歳のあなたに、2度目のラブレターが送れますよう共にがんばりましょう。東大精神科医師連合」と書いてある。

こういうふうに、東大精医連というのは成田空港を暴力で破壊したあの暴力集団等の仲間だということがはっきりしておるのです。

しかも、同じ3、4月号なんですが、先ほど私が言いました自主管理の問題について「労評」に東大精医連みずからが、3・20は公選人事、看護婦さんの増員、施設改善、この3項目の要求実現に一定に近づいたものとしてこれをかち取ったという言い方までしているのです。「今後、さらには医教授会の外向けの確認(アリバイ作り)にさせることなく、我々の要求の中味に沿ってこれを実現させていく!」ということまで言っているのですよ。

だから、自主管理をあくまで徹底的に貫徹するということとあわせて、成田をあのようなことにさせた暴力集団の仲間の団体であるということをはっきり認識される必要があると思うのです。だから、それを信用して説得に応ずるまで説得を続けるということでは、とてもじゃないが正常化は実現できないのじゃないかというふうに私は心配するわけです。

もう一つ申し上げますと、東大病院反戦青年委員会というのがあるのです。これもどういう団体か御存じでしょう。暴力集団の一つです。内線の5368という電話番号は病棟の中にあるのです、いまの占拠派が占拠している中にあるのですよ。いまはありませんけれども、かつてはこの反戦青年委員会がこの病棟の電話を連絡の電話番号に使っておったということまではっきりしているのですね。だからいま、大学当局あるいはいろいろ行政的に指導、助言をしておられる文部省当局が、この東大の精神科病棟の問題で相手にしておられるのはこういうような暴力集団だということをはっきりと認識される必要があると思うのですが、いかがでしょうか。

[278]
政府委員(文部省大学局長) 佐野文一郎
東大精医連は43年の10月に医局講座制の解体等を主張する精神神経科の講師、助手等によって結成されたものでございます。その後、授業の再開その他医学部の紛争を収拾することについて意見を異にする人々が精神医学教室会議をつくったということもございまして、両方の対立が現在まで続いているわけでございます。ただ現在は、精医連と称している者の中に東大の医師というのは講師1名がいるのみでございます。その他の者は、同じように医局講座制の解体等を主張しておりますけれども、東大卒業の医師を中心とした医師の集団であって、いわゆる東大の医師によってのみ構成されている団体ではなくなっております。また、その団体が結成されて以来の状況を見ましても、いわゆる過激派と言われておりますセクトに属していた人々がいるということも承知をしております。また、全体として過激派集団にきわめて近い思想の持ち主が多いということも承知しております。

そういう状況のもとで、またそのことは医学部も病院も十分に承知をしながら、正常化の道を進めてきているわけでございます。もちろん精医連の側は3項目を貫徹するという主張を現在掲げているかもしれませんけれども、病院側がそれを是認するわけではもちろんございません。そういった事柄は事柄として、これまで両者の確認という形でのステップが切られてきているわけでございますから、十分に御指摘の問題点は承知をしながら、さらに強い姿勢で正常化を進めていってもらうように指導いたしてまいります。

[279]
日本共産党 安藤巖
まだ北病棟の11階建ての建物の4階が占拠されている問題もあるでしょう。だからその問題もただそうと思ったのですが、時間がありませんからやめます。

そこで、大臣に最終的にお尋ねしたいのですけれども、大臣も、3月29日の文教委員会で、占拠をしておる団体、それから占拠の状態について、「いかなる体制にも反対だというような破壊的な過激派集団、まさに暴徒による占拠が不当、不法に行われている」という認識を持っておられるわけですね。

しかも、いま私がお尋ねする中で申し上げましたように、占拠をしている精医連という団体が、まさに成田空港で大活躍をした本当に破壊的な暴力集団、にせ左翼の暴力集団と仲間である、気脈を通じている団体であるということは非常にはっきりしていると思うのです。

だから、そういうような団体を相手にして、信頼をして、説得に応ずることを期待して、そして、最初におっしゃったような正常化という方向へ持っていくことができるのかどうか、その点非常に懸念するのですが、その点について最後にお尋ねして、私の質問を終わります。

[280]
文部大臣 砂田重民
あの病棟を占拠している集団がどういう集団であるかということを、私は承知をいたしております。また、東大総長もその集団の性格を正確に把握をしておられることを私は確認をいたしております。そういう上に立って、文部省まで東大総長に来ていただきまして、いまの事態は絶対に国民の容認するものではない、もう遷延は許されません、いろいろ御努力をしておられることは評価をいたしますけれども国民の理解できるところではないということを、指導、助言を強くいたしたわけでございます。そして、大学総長は、その責任の所在は私にもございますということを私に明確にお答えになりました上で、これの正常化への道はやはり話し合いによってとっていきたい、解決、正常化への手法は話し合いに求めていくのだという現実の解決手法を話し合いの道に大学総長がとられた、私はやはりそれに信頼をしていかなければならないと考えます。そしてまた、そのことが正常化への道を一歩一歩歩んでおります事実も、大学当局の努力を認めなければならないと考えます。

それは、東大総長に私が直接お目にかかってお話しいたしましたときも、全教授会的な支援体制で解決を図られるべきだということを申し上げたのでありますけれども、教授会、医学部教授会全体が、分担教官等が交渉いたしますときにやはり支援体制を十分とって、先ほどお話のございましたいわゆる確認書というものの中身につきましても、それが正常化への道を歩むのだということを教授会として確認をしておられるわけでございます。私はやはり、解決手段として具体的に、話し合いによってやります、必ず解決をいたしますということをお約束して帰られました東大総長のその手法のとおりに事を進めていただいて、一日も早い解決を期待しながら、強い私の解決への熱望の気持ちは捨てずに、指導、助言を続けてまいる、かように考えているものでございます。