昭和50年02月26日 衆議院 予算委員会第二分科会

[294]
日本共産党 山原健二郎
最初に私どもの調査した状態をちょっと申し上げますと、全国約400の国公私立大学のうち、トロツキスト暴力集団により、程度の差はあれ、教職員、学生の教育、勉学、研究活動、自治活動あるいは政治活動の自由を侵されている大学は、20都道府県の53大学に及んでおりまして、この53大学に学んでいる学生の数は約57万人でございます。こういう状態が私どもの調査で出ておりますが、文部省としては、こういう数字をつかんでおりますか。

[295]
政府委員(文部省大学局長) 井内慶次郎
文部省としましても、大学の研究、教育の正常な運営が阻害されておる状態につきましては、各大学からの報告、あるいは新聞報道、あるいは各大学関係者の会合等における事情聴取等を通じまして、随時実態の把握に努めておるところでございますが、文部省の調査能力もおのずから限界がございますが、可能な限り実態把握に努めるという態度で努力をいたしておるところでございます。

[296]
日本共産党 山原健二郎
私の方の調査をもう少し申し上げましょう。

まず第1番に、暴力集団を批判したり暴力に反対をする学生が、長期にわたって授業を受けることができず、大学構内に入ることもできない、あるいはビラの配布や学内集会などの自主的な活動が公然とできないところが、大体6つの大学、学生数にしまして16万7200名。

それから2つ目の問題として、大学構内でのビラ配布など自主的な活動がテロ、リンチの危険にさらされているところが32大学ございます。この大学に学ぶ学生数は28万8200名。

3番目に、状況によって学生大会や集会などが暴力集団によって襲撃されるというおそれのあるところ、これが22大学、学生数にしまして11万4000名、こういうふうになっております。

これは前に調査をしましたときと比べますと、先ほど、1、2、3と、私、分けましたけれども、1の大学が前の調査のときには3つの大学でございました。それから2の大学が14。それから3の程度の大学が15大学。合計32大学でしたが、この間多くの学生や教職員の努力によって、15の大学では暴力支配がほぼなくなっております。けれども、新たにまた36の大学に、程度の差はありますけれども、暴力的な支配が横行しておる、こういう状態になっているわけです。そして1968年、一昨年以降、この6年間に死者30数名、重軽傷者4000数百名を数えております。

これは警察庁で調査してもらったのを私どもいただいたわけですが、それによりますと、49年度じゅう、昨年度じゅうに、殺人が10件、それから傷害が261件、こういうふうになっているわけです。警察庁の方お見えになっていますか。この数字は合っておりますでしょうか。――まだですね。わかりました。

こういうことです。だから、私どもの調査はかなり精密に行ったわけですが、そう間違いはないと思っています。こういう状態の中で、学校へ行けない、あるいは学校へ行くことによって危険を感ずるとかいうような学生が出ております。

たとえば、いわゆる中核派と呼ばれる暴力集団の非常に全国的な、中心的な拠点と言われておるというわけですけれども、法政大学の場合、文部省の調査では、大体どれくらい学校へ行けない生徒がいるでしょうか。

[297]
政府委員(文部省大学局長) 井内慶次郎
私ども、法政大学の問題につきまして、大学当局の方から、必要に応じまして事情聴取もいたしておるのでございますが、通常の授業を受ける際に登校できない学生が果たして何人ぐらいおるかという学生数の把握等につきましては、大学の方もわかりかねておる。

ただ、いろいろと学生団体で、ある宣伝活動をしますとか何かあります際に、現にその衝突が起こり、暴力事件にまで及ぶという事実がございます。

なお、現在、各学部の教授会に、学生が平穏な形でどうも試験が受けられない、だから何とか大学当局の方で図ってくれという申し出をした学生は23人ある、こういうふうに大学当局の方から私ども聞き及んでおります。

[298]
日本共産党 山原健二郎
試験を受けることができない、何とか身の安全を保障してもらいたい、試験を受けられるようにしてもらいたい、こういう申請が大学当局に対して23人の学生の間から出るということ自体、これはもう大変悲しむべきことなのです。

法政の例をちょっと申し上げて見ますと、一つの形態は、学生の前から隔離して目の届かぬところで身体に危害を加える。もう一つの形態は、集会の形式で糾弾、暴力を加える。さらにもう一つの形態は、その場で鉄パイプで殴る、こういう状態があります。

ちょっと一例を申し上げますと、71年にK君というのが、図書館に連れ込まれてリンチを受けています。裸で鉄パイプで殴られ全身打撲、その打撲を受けた場所をそろばんでかきむしる、そこにまた塩をすり込む、そして黒い布に包まれて55年館前に放り出される。このK君が、血圧ゼロ、入院6カ月という状態です。

2つ目の例を見てみますと、これは71年の6月12日のT君の場合です。彼は、「橋のない川」の上映ビラを女子学生が配っておりましたが、その女子学生を、黒いヘルメット、赤いヘルメットをかぶった、黒ヘル、赤ヘルと呼んでいるそうですか、それが、お前は差別者だと言って殴りつけた。これにとめに入ったこのT君が、学生ホールに連れ込まれて、机の上のいすに座らされ、6時間にわたって暴行、危篤状態になっています。そのときに虫ピンで刺されてもいます。これは学生がその現場を見ておりまして、約100名の学生が見守る中で行われたわけですね。この学生諸君が、やめろやめろ、こう言っておるのですけれども、この君を取り巻いておる集団は武器を持っているわけですね。どうにもならないわけです。そして同じくT君が翌年の11月に再び赤いヘルメットをかぶった連中につかまって、学生ホールに連れ込まれて――この首謀者もわかっておるわけです。第一法学部の森垣という自治会委員長を僣称しておる人物でありますが、4時間にわたって暴行を受けています。そしてこのT君の場合は、学校の正門に、ちょうど警察のやる指名手配の顔写真を張るようにして、これに対する暴力宣言、これをやっつけるんだという宣言文と一緒に顔写真が張られるというような状態ですね。

それから昨年、74年9月19日には、Y君の場合ですが、奨学金を受け取りに学校へ行きまして、そこでつかまって4時間半暴行を受けます。55年館の前で机の上のいすに座らされて暴行を受け、あげくの果てはたばこの火をすりつけられて殴られる。このときには当局の学生課の職員もこれを目撃いたしております。このときに解放同盟の腕章を巻いた人物が、徹夜になってもよいからやれ、こういうけしかけをやっておる事実も明らかになっています。

3つ目の例として、これは無数にあるわけでございますが、昨年5月17日に、S君が授業に行って、帰りにつかまって殴られる。めがねは壊され、まゆ毛の上を3針縫うという状態。同日にU君というのも、科目の登録に行って、帰りにつかまって殴られるという状態が起こっております。

こういう暴力事件の中で、登校することができない状態、登校すれば危険であるという状態が起こっているわけです。先ほど大学局長が言われた23名というのは、その中の一部の方たちだと思うのです。

こういう状態で、ちょうど学校の教授会に対して、この学校へ登校できない学生諸君が訴えの手紙を出しております。私もその写しを見せていただいたのでございますけれども、これは全くやり切れない気持ちにさせられるわけでございます。

その中で、大体どういう状態かと言いますと、本校キャンパスに入れば直ちに暴力集団にねらい撃ちにされ、授業を受けることは全く不可能な者が、法政大学一部に3名、二部に9名、計12名。それから暴力集団にねらわれており、入校することが非常に困難であり、ほとんど本校へ入れぬ者、一部9名、二部42名、計51名。それから絶えず一定の危険にさらされているという者、入校するのに非常に用心が必要な学生の数は一部12名、二部8名、計20名。入校することが状況により危険である学生の数は一部26名、二部0名、計26名。以上総計しますと109という数になりますが、これはもちろんこういうふうにわかった数でございますから、そのほか多くの学生、教職員が脅威を感じながら生活をしておるというのが実情だと思います。こういう状態ですね。

これはいまここでお聞きしても、きょうのところは、大学当局に聞いて調べる以外にないと思いますけれども、しかし、これは偽りの報告がなされておるなどという状態ではありません。こういう事態は法政大学だけではありません。九州大学の場合も、昨年1年間に34件の暴力事件が発生をしまして、ことしに入りましてから九州大学の場合は一層ひどくなっている、こういう状態が報告されております。

私はまず第一番に、こういう事態の認識を、形式的にはちょっとわかりにくいと思うのですけれども、もう少し大学の深部の状態というものをつかんでいただく必要があるのじゃないか、こう思います。どうでしょうか。

[299]
政府委員(文部省大学局長) 井内慶次郎
先ほどもお答えしたところでございますが、文部省としましては、新聞報道あるいは大学当局から、私ども、より以上の注意をいたしまして、できるだけ詳細な実態を把握する努力を一層継続してまいりたい、かように存じております。

[300]
日本共産党 山原健二郎
法政大学当局が、武器の持ち込みとか夜間宿泊を認めないなどという6項目3原則というのを出しておられます。これは48年6月の11日に法政大学として出しておられるわけです。たとえば6項目を見ますと、
「人身に対して危害を加える行為」
「凶器となるべきものの所持と集積、威嚇行為など、暴力行使の準備となる行為」
「大学の運営に重大な支障をおよぼす業務、授業、試験の妨害」
「大学施設の不法使用・占拠・封鎖および破壊」
「許可なき者の大学施設の徹夜使用・宿泊」
「許可なき学外者の大学構内への立入り」、
これが6項目で、また3項目という建物の使用その他について出ています。3番目には「すべての学生団体は、思想・信条の相違と対立を暴力によって決しない旨の意思表示を、大学が確認しうる方法で行なうこと」などというものがあるわけです。

そしてもちろん一定の努力はいたしておるわけでございますけれども、しかしなかなか実効が上がらない。一方は武器を持っているわけですから、武器を10人が持てば、100人行ったってこれはかなわないわけですね。そういうことが公然と行われるということは大変残念なことだと思うのです。

そこで、ではそういう暴力を使う連中が各大学において多数を占めておるかというと、調べてみますと全く少数なんですね。本当に少数なんです。それと同時に、この法政の場合も、いわゆる外人部隊、学外から来る、これがいるわけです。だから大学だけ責めたってちっとも問題は解決しません。

たとえば、これは法政大学で45年8月3日に起こった事件でございますけれども、これは新聞にも出ましたのでもう御承知だと思います。これは8月3日に革マル派系の東京教育大学の学生の海老原俊夫という人物を、中核派と称する連中が池袋駅でつかまえまして、そして同人をタオルで覆面をさせてその両わきを抱えて、約30名が3列縦隊で彼を隊列の中に閉じ込めて、そして池袋から法政大学まで連れてくるわけです。そして法政大学の第二校舎の地下、全関東美術連合本部なる部屋に押し込めまして、そして彼に目隠しをし、いすに座らせロープでいすに縛りつけた上、数人で取り囲み、同人の当日の行動、東京教育大学における革マル派の組織、活動状況等について追及しながら、生きて帰ると思うななどと脅迫し、そうしてついに最後には、同人に対し、金づち、角材、ヌンチャクあるいは空ビン、手拳等で同人の両大腿部、両下腿部、両肩部、背部、両腕、胸部、腰部等を多数回殴打し、同人が気絶するとその全身に水を浴びせて意識を取り戻させ、さらに同様の暴行を繰り返し、よって同人をして全身にわたる打撲挫傷等を負わしめ、間もなく同所において右傷害に基づく失血性ショックにより死亡するに至らしめた。その死亡した死体を東京厚生年金病院の正面玄関に運搬してこれを遺棄する、こういう事態ですね。

この中心人物は、中核派の中央大学生の富山保信という人物であります。殺人行為の首謀者です。ところが彼は、逮捕されておりますが、48年8月11日に60万円の保釈金を積みまして保釈になっているわけです。保釈になって、今度起こりましたところの、全逓の革マル派と呼ばれる山崎殺人事件が発生するわけです。その殺人事件にまた参加する、こういう状態ですね。まさに殺人行為の主犯が保釈になる、そしてまた殺人を繰り返す、こういう事態ですから、こういうことが許されているという、全く異常な状態なんです。これは警察庁の方おいでになりましたか。またですか。このように、法政大学といいましても、学外から来て殺人行為を行っているわけでございます。

そして昨年の5月13日に第一次の法政大学前での大規模な衝突が発生をして、死者1名、重軽傷10数名が出るわけです。このときに警察当局が学生自治会室106号、107号、108号室に入っておりますが、これは学校当局が発表しておりますけれども、ここでは鉄パイプ88本、竹ざお44本、その他ヘルメットその他の武器が押収されるわけです。

それから、昨年の9月に至りまして第二次衝突が行われています。これは学生会館に革マル派が乱入をするという事態ですね。学生会館を見てみますと、これは警察当局も述べておるようですが、入り口がトーチカのようになって、人がほんのわずかのすきしか入れないようにしているわけですね。1人しか穴を通って入れない。いわば学生会館が要塞化されている。しかも、この学生会館はりっぱなものでございまして、平常ならばここで学生諸君がサークルをやり、そうしてここでお互いに討論をし、そうして勉学にいそしむ、すべての法政大学の学生諸君がそこで教育を受けたり研究したりすることのできるものです。それがまさに占拠されているという状態。警察が入りましても、窓を破って、さくを壊して、やっと3名の人物を救出しなければならないという状態なんですね。そのときの中核派の出しております新聞を私持ってきておりますけれども、それを見ますと、これは学生会館というのは学館とりでだと呼んでいるわけです。まるでとりでですね。学生会館が暴力のとりで、武器庫、宿泊所、出撃の基地、こういう状態にあるのが実情ではないかと思うわけです。一体その学生会館の中がどうなっているのか、こんなことをお聞きになったことがありますか。

[301]
政府委員(文部省大学局長) 井内慶次郎
ただいま法政大学の学生会館の問題につきましてお話を承ったわけですが、学生会館が建設され、これを使用し始めるときからいろいろ問題があったようでございますが、一応15人の代表者からなります学生連盟というものができて、これがこの運営をやっていくのだということでたてまえは来たようですが、学生会館の管理並びに運営につきましては、非常に多くの問題が出てまいりましたので、法政大学としては現在学生会館の使用を禁止して、ロックアウトしておる、こういうふうに聞いております。

[302]
日本共産党 山原健二郎
禁止しロックアウトしても、その中がどういう状態になっておるか。仮にロックアウトして中にだれもいなければ、学生会館の中がどういう状態になっておるかわかるはずなんですね。だけれども、それができないわけですね。そういう実情になっているわけです。警察庁の方、お見えになっていましたら、その実情をちょっと報告していただきたいのです。

[303]
主査代理 山本幸雄
ちょっと速記をとめて。

[304]
主査代理 山本幸雄
速記を始めて。

[305]
政府委員(文部省大学局長) 井内慶次郎
ただいまのお答えに補足させていただきますと、1月18日の事件で現在本校地区全体をロックアウトしておりまして、学生会館につきましても、学生が中に入れないという状況でございます。現在は法政大学の職員が会館の中を巡回し注意を払っておるというふうに報告を受けております。

[306]
日本共産党 山原健二郎
そういうことなら学生会館の中の実態もわかると思うのです。私の聞いたところでは、そういうふうになっていません。ロックアウトを宣言して、学生会館の中へ入ってどういう状態になっておるか調べることができるようなら、問題はとうに解決しているわけですね。

いま三者自治会連盟の話が出ましたが、三者自治会連盟はどう言っておるかというと、こう言っておるのですよ。革マル分子を捕捉せん滅したと彼らの暴力を賛美しながら、「あらゆる方法、手段で、頭目黒田、朝倉から活動家、シンパにいたるまでひとりのこさず、せん滅することを宣言する。」いわば殺人の予告まで宣言しておるわけですね。せん滅することが「権利であると同時に義務でさえある」、こういう書き方をしておりますから、とてもそんななまやさしい状態ではありません。

それからもうちょっと申し上げておきますと、昨年の1月14日付の中核派の機関紙「前進」というのを見ますと、こう書いてあります。「にえたぎる復讐心がバールのきっ先に集中し、うなり音をたててふりおろされたバールがにぶい音とともにのめりこんだ」「われわれは「傷の深さと血の量」をこそ、せん滅度をこそ目的意識的に追求する」。

それから革マル派の方は、昨年5月24日付の機関紙「解放」というのにこう書いています。「われわれは一片の仮象存在をも許さぬ絶滅解体を一挙に完成する」。こう言って、お互いに殺人の予告をしながら殺人行為を繰り返しておる、こういう状態です。

そこで大臣にも聞いていただきたいのですけれども、こういう中で、ほとんどの学生諸君、教職員は、暴力のない法政大学を求めていると私は思います。先ほども言いましたように、当局も6項目3原則というものを出しておられますし、それから学生の方たちからもこういう幾つものビラが出ていますけれども、その中で、大学に危険で入れない学生諸君がこう書いています。「当面、私達は次のことを要求いたします」として「(1)当局は109名の学生が安心して登校、受講できるようただちに万全の措置をとること。(2)当局は暴力を行使し、テロ宣言を出している暴力集団を処分すること。(3)鉄パイプ、チェーン等武器の搬入所持の禁止を完全実施すること。(4)当局は暴力集団の武器貯蔵、製造の場所となっている学生会館を、学生代表を含む学内民主団体代表の立会いのもとに総点検し、すべての武器を撤去し、その実態を公表すること。」幾つかの項目の中の2、3を読みましたが、私はこれは当然の要求だと思うのです。それがなぜ実行に移せないのかという点ですね。

その点では、私は文部省に対して、法政大学に対してこうこうせよということをいま申し上げるつもりはございません。しかしながら、本当に登校できない、あるいは困難である学生だけでなく、全学生、全教職員が学内で自由に活動のできる、自由に研究、教育のできる事態をつくり出すということでは、この暴力に対して毅然たる態度をとることがいま要求されておると思うのですよ。特に、外人部隊が入りまして、ときどき学校を封鎖して検問をやるのですね。その検問の竹ざおの下を当該大学の教職員が検問を受けながら通らなければならぬなどということは、まさに大学人にとって最高の屈辱ですね。しかも、その検問をしておるのは当該大学の学生ではなくて、どこからともなくやってきた連中なんです。

こういうことを考えましたら、これは本当に大変なことでございまして、いままで文部省はしばしば言われてきたのですけれども、セクト間の争いだとかいうようなことではないのです。暴力を使う者と、その暴力に対して反対をする者、あるいは大学を真に大学らしい大学にしようとする者との対決であるわけです。しかも暴力を使う者は、まさに反社会的な行為を行っている連中ですね。これまで擁護する必要は全くないわけです。大学の自治や学問の自由を侵している、そんな者まで大学の自治だからといって擁護したりすることは、いささかも必要でないわけですね。その点で、学生の要求や、あるいは大学当局の、暴力を排除しようとする決意に対して、文部当局としてこれを激励して、本当に日本の全大学から暴力を排除するという決意を持つことが必要だと思うのです。まず第一番に、この状態を文部省に正しく認識していただいて、本当に大学の自治を守るためにも暴力に対して毅然たる態度をとることが、いま暴力排除のために奮闘しておる教職員や学生に対して一番大きな激励になるのじゃないか。この点を文部大臣はどのようにお考えになるか、お聞きしておきたいのです。

[307]
文部大臣 永井道雄
先ほど三木総理の言葉を引用なさいましたが、まさにそのとおりであって、暴力というものはいついかなる場所においても絶対に許されないものであると思います。暴力があって民主的社会が成立するということは考えられません。とりわけ、民主的社会の中における学校また大学、そういう場におきまして暴力が存在すれば、大学の自治も学問の自由も成立する余地がございませんから、これは日本の学校また大学から絶対に暴力を排除しなければならないと考えております。

[308]
日本共産党 山原健二郎
いまのようなお答え以外にはいまのところないと思いますけれども、本当に実効の上がる適切な――大学当局として、文部省として、越権なことはできないにしても、やるべき手はきちんと打っていくということがいま必要になってきておると思うわけです。