昭和50年06月04日 衆議院 文教委員会

[111]
日本共産党 山原健二郎
最初に、緊急な事態もありますので、質問いたしたいのですが、先ほどのニュースを聞きますと、きょう8時に、大阪市立大学の教養学部の門前におきまして、いわゆる革マル派60名、中核派70名による乱闘が行われて、そのうち6名が病院に収容され、2名が死亡するという、そういうニュースを聞きまして、私も大学における暴力の問題についてしばしば取り上げてまいりましたので……。

このニュースをお聞きになっておりますか。それからその後の事態がどういうふうになっておりますか。きょうは警察庁の公安第三課長にも出ていただいておりますので、まず、その事実を御存じでしたら報告をしていただきたいと思います。

さらに、文部大臣の方から、この事件を御存じでしたら、これに対する見解を伺っておきたいのです。

[112]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
けさ大阪市大の構内で、内ゲバ殺人事件と思われます事件が発生いたしておりますので、概況を御報告申し上げます。

けさ、発生いたしました時間は8時10分ごろでございます。場所は大阪市立大学正門の付近、構内でございます。

衝突いたしましたセクトは、革マル派と、黒ヘルをかぶっておりましたグループでございます。この黒ヘルをかぶっておりましたのは、中核派ではないかとも見られておりますが、まだ確認に至っておりません。

負傷は6名でございます。そのうち2人が死亡いたし、重傷1人、軽傷3人でございます。なお、氏名等は目下調査中でございます。

状況は、けさ7時半ごろでございますが、大阪の長居公園というところで革マル派30名余りが集会をいたしておりました。長居駅から阪和線に乗りまして、杉本町駅でおりまして、大阪市大の構内に向かったわけでございます。8時ちょっと前に学内に入りまして、直後に衝突いたしました。それで、いまのように6名の死傷者を出したという状況でございます。

警察措置でございますが、110番の通報で事案発生を知りまして、大阪府警は8時15分に住吉警察署、発生署でございますが、ここ、それから隣接6署、それから阪和線の沿線7署に緊急配備をいたしました。機動隊20人を学内に投入し、さらに杉本町駅、これは大阪市大の前にある駅でございますが、ここへも40人を配置して警備警戒に当たりました。事情を聴取し、さらに犯人の逮捕に努めたわけでございますが、現在のところ6人を任意同行いたしまして調べております。この6人がどのような者であるかは、まだ不明。とりあえずの第一報でございますので、あるいは、捜査をしてまいりますと、いま申し上げた点と多少違ってくる点があるかもしれませんが、以上申し上げましたようなことが事案の概要でございます。

[113]
政府委員(文部省大学局長) 井内慶次郎
私どもまだ詳細な報告を大学から受けておりませんが、一応大学の方からの報告によりますと、けさ特定集団が入校する際に守衛が一応制止をいたしましたが、押し切られてしまった。それで、退去をするよう学生部長等が一応説得に当たった。事件現場である正門付近は検証のため通行禁止となっておるが、南門から出入りできるので、授業は一応継続されておる。今後の措置等につきましては現在緊急部局長会議等で検討中であって、教職員の泊まり込みによる学内のチェックであるとか、あるいは学外者の集会等の即時解散であるとか、いろいろ具体問題、具体措置につきまして部局長会議で検討中であるというのが、先ほどの私どもが聞きました報告でございます。

それ以上のことはまだちょっと詳細わかりかねております。

[114]
日本共産党 山原健二郎
国会でも暴力に対する決議が行われたわけですね。しかしこういう殺人行為に及ぶ事件が次々と発生するという事態ですから、関連して現在の法政大学の問題について少し伺っておきたいのです。

それはきょうの毎日新聞を読みますと、見出しが「内ゲバで学園危険」「巻添え学生らが声明」を出しておると言う。その声明の内容も出ております。その内容を見ますと、その中には――記者会見をしているようですね。そして「警察が完全武装で隊列を組んでいる暴力集団を黙認し、大学当局もき然とした態度をとらない結果、内ゲバ暴力事件によって死人さえ出かねない危険な事態になっている」こういう新聞記者会見をしているようです。

そこで、この前私どもが法政大学の問題を取り上げましたときに、春休みの間において一定の処置をするというお答えが、これは衆議院でもそうですが、参議院の方でもありまして、それを期待をいたしておったわけです。ところが、新学期に入りましてから、聞くところによりますと、また新聞報道によりましても、ほぼ2日に1遍は暴力事件が発生をいたしまして、そしてこれは日を追って続いている。聞いてみますと私は大変な事態だと思うのですが、たとえば学生諸君に対する威圧行為ですね、こういうものが行われている。この暴力を使う連中というのは、たとえば法政大学2万数千の学生諸君がおるわけですけれども、恐らくその中の30名、多くても100名程度ではなかろうかというふうに思うのですけれども、それが全学生、学内を制圧するような暴力をふるっているわけですね。しかも武装しておるという、この状態が続いているわけですね。

そして、ときには生協に対する襲撃が行われておる。これは5月の段階で杉山さんという理事が、6針も縫う負傷をするという事件が起こっています。

5月22日には生協労組の委員長さんが全治2週間のけがをし、食堂は壊されている。

5月1日には教授会室に乱入をしている。

それから5月12日には、大きな不祥事件が起こるわけですね。これは革マルと中核が衝突、襲撃事件を起こして、2名の女子学生が盾にされて負傷する。これは新聞報道されております。

5月19日と5月22日と、革マルに対する襲撃が行われている。

5月28日は、これは警察庁の方に主としてこの日を伺いたいんですが、朝からずっと学内は騒然たる状態が続いておるわけです。そしてさらに今日に至りましても、6月に入りましても、こういう事件がずっと続いておるわけなんですね。こういう事件、しかもこれはいつ殺害行為が行われるかわからない。公然とテロ行為というものを肯定をし、やるんだ、殺してもいいんだ、こういうことが公然と言われておる部隊が大学の中に依然として蟠踞している。全く大学の自治も何もあったものじゃない。そういう事態が続いているわけですが、特にこの5月28日を中心にして、どういう事態が発生したのか、警察庁の方から御説明をいただきたい。

[115]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
5月28日の状況を申し上げます。

5月28日の午後4時18分ごろのようでございますが、法政大学の62年館の4階、250号室で一般学生70名くらいが英語の授業を受けようということで集合しておりましたところ、中核派の2名が鉄パイプを持って教室へ入ってまいりまして、アジ演説を始めました。そこで一般学生と口論になったわけでございます。

その直後、午後4時20分ごろでございますが、大学の職員から110番通報がございました。所轄の牛込警察署長以下、すぐ現場へ急行いたしまして、学内に入りまして、事情を聴取し、警備に従事しておりましたところが、同じ午後4時35分ごろになりまして、法政大学の本校の方から、ヘルメット、鉄パイプなどで武装いたしました中核派30名が、これは応援にかけつけたと思いますが、62年館にかけつけまして、館内に侵入いたしました。そこで、出動いたしておりました部隊は、そのうちの17名の者を凶器準備集合罪、建造物侵入罪の現行犯で逮捕いたしまして、ただいま全員勾留をいたしまして取り調べ中という状況でございます。

[116]
日本共産党 山原健二郎
この17名というのは法政大学の学生ですか。

[117]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
17名のうち、これまで逮捕歴等がありまして氏名が判明いたしました者が12名おりますが、いずれも法政大学以外の大学生かあるいは一般の会社員という者で、法政大学の学生は氏名が判明いたしましたこの12名の中には見当たりません。

[118]
日本共産党 山原健二郎
ちょっとこだわるようですけれども、28日のことを経過を追って一部質問したいと思います。

この28日には、朝の9時ごろより革マル派と称される者が本校にステッカーを張ったり、学生会館にも来ておる。これに対して黒ヘルといいますか、黒いヘルメットをかぶった連中でしょうが、黒ヘルが襲いかかっている。そして誠文堂というところまで追いかけているわけです。1名は血だらけになってここで倒れております。

そのときに警察が現行犯逮捕のため正門を入って学生会館前まで行ったと聞いておりますが、そのときに学校側の人から学館に入ることを拒否されたというふうに聞いておるわけですけれども、そういう事実がありましたか。

[119]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
ただいま御指摘の事実について調べてみましたが、よくわかりません。私どもはいままでのところそのようなことは把握をいたしておりません。

[120]
日本共産党 山原健二郎
学館の中に学生が、いずれの派か私もわかりませんが、恐らく革マルだろうと思います、それが連行されて、それを警察が学生会館のところまで行って、そしてそこで学館に入ることをとめられたというふうに聞いているわけですが、12時ごろになりまして中核派が学館から荷物を運んでおります。これは荷物を運び出して、4時10分ごろにいわゆる62年館の5階の250号教室、これは経済学部の1年F組のクラスだと聞いておりますが、この教室に入っております。そして、この中核派が1名教室の中でアジ演説をやっているわけでしょうね。そこへ革マル派が2名来て、そしてここで中核に襲いかかって、服の下にあった鉄パイプを取り上げるという事件が発生をしております。それから革マル派20数名と中核派10数名が乱闘を始めております。そして、そのうちの何名かが本校の方に中核派の援軍を求めに行っているわけです。そうすると、本校には中核派30名、黒ヘルが30名、赤いヘルメットが10名程度おりまして、完全武装で中核の指揮のもとに集合していて、そしてそのうち中核派30名が62年館に向かっております。そのとき110番に連絡がなされているのです。パトカーが62年館に先に着いているのです。ところが、62年館の正門前には警官もおりますし、恐らく10数名いたのではないかと言われておりますが、ここへその30名が入っているわけです。そして中で大乱闘になりました。そしてしばらくして学校当局が学内から退去せよ、こういうふうに聞いているわけです。学内から退去せよというのは、暴力で乱闘しておる連中だけでなくして、全学生の退去を学校当局は要求している。このときに機動隊が入りまして18名逮捕したと聞いているわけですが、これはいま17名という話がありましたが、18名ではなかったのですか。

[121]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
逮捕いたしました者は17名でございます。全員につきまして勾留をいたしまして、現在取り調べ中でございます。

なお、前段の学内におきますその日の細かい動きにつきまして、私どもも目下捜査をいたしておりますが、まだ詳細把握に至っておらない状況でございます。

[122]
日本共産党 山原健二郎
その17名の逮捕者の中に、法政大学の文学部自治会委員長を僣称しておる堀内日出光という人物がおりますか。

[123]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
17名のうち12名の名前がわかっておることは先ほど申し上げましたが、その12名の名前がわかっております者のうちには堀内は入っておりません。

[124]
日本共産党 山原健二郎
目撃者の言によりますと、このときに確かに堀内日出光という人物が逮捕され、護送車といいますかあの車に乗せられたのを見ているわけです。これは中核の中心人物であり、また、指揮をとっている人物ですから、現行犯逮捕するならば当然逮捕されておる中に入っておるものと私は思うわけです。事実目撃者もいるわけです。ところが、この直後に中核派が記者会見をしております。その記者会見には堀内が同席をいたしております。こういう状態です。しかも、この連中は、私もここへ資料を持ってきておりますが、写真も持ってまいっておりますけれども、公然とテロ殺害をやる、こういうものを自治会報等を通じて行っておるグループであります。こういう状態ですが、所轄庁の方から堀内日出光のことについては警察庁の方には報告がないのでしょうか。

[125]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
17名の逮捕中12名の名前はわかっておる、その中には堀内はおりません。また、堀内はこれまでに逮捕歴がありますので、もしこの中におるものであれば指紋が合うわけでございます。したがって、堀内がおればこれまでにわかっておるはずだと思いますので、17名の逮捕者の中にもいなかったということではなかろうかと思います。

護送車の窓で手を振っておった者が急に釈放されて、後に記者会見をするということは、私はあり得ないことではないだろうかと思います。

[126]
日本共産党 山原健二郎
手を振っておるということは言っておりません。護送車に乗せられておるところを見た者がおるということです。しかし、ここで真偽を確かめる場所でもありませんから、これはぜひ調査をしていただきたいと思うのです。

それから、午後5時30分ごろになりまして、本校の中では中核や黒ヘルなどが渦巻きデモを完全武装で行っているわけです。そしてここに学生が集まってきまして、1000数百名の学生が集まっているわけです。これは革マルの学生を学生会館に連れ込んだわけですね。それを見ながら学生たちは暴力をやめろということで集まって、それとなくずっと集まってきているわけです。これに対して中核派は学生会館の前に立て看板を立て、防衛体制を組みまして、その学生の中に中核派がおるということで今度はこの一般学生諸君に突入をしてくるというような状態です。そのうち本校の方もついにロックアウトをされる、こういう状態ですね。現場に居合わせた人たちからいろいろ聞きましたこと、また新聞等の報道によりまして私がまとめたのが大体いまのような状態です。

そして現在では62年館に、中核がしばしば構内に入りまして、約150名ぐらいの完全武装の集会が開かれる。これは5月30日のことであります。

6月2日に至りまして、また朝の7時30分に62年館にあらわれて、5階に上がって、そして9時30分にはロッカーなどをトラックで運び込む。10時10分にはいす、机、看板を運び込む。パトカーは1台待機しておるわけですが、いわば法政大学の本館とそれから62年館の間をもう完全武装の部隊が行ったり来たり、しかもトラックで堂々と動き回っている、こういう状態です。こういうことがもう許されているわけですね。事態はこういうことなんですが、学校当局に話をしましても、これは吉田学生課長という方が出ておりますが、法政大学がかつて出しまして私がここで取り上げました3原則6項目ということが守られていない、けれども具体的に処置は何にもできないというようなことも言っておるわけです。そしていわば野放しにされておるという状態です。昨日も朝方ロッカーが運び込まれ、完全武装部隊がまたロッカーをトラックで運ぶ、こういう状態でございます。

こういう経過を見まして、一体どうなっておるのか、このままで法政大学が放置されてよいのか。私は学生だとはちょっと思えないと思うのです、こういう殺人集団ですからね。自分の意見を聞かない者は鉄パイプで打ちのめして殺害しても結構だという論法、そして全大学をこの種わずかの連中が武力でもって制圧するなどということが行われているわけですね。これに対してどういう適切な手を打ったらいいのか。これは大学当局にももはや要求されておると思う。国民はこんなことをいつまでも許してはおかぬと思うのです。文部省当局も警察当局も大学当局も打つべき手は打たなければならぬ。そんなことをいつまでも放置してどうなるのかというのが国民の声ですよ。

そういうことを考えましたときに、本当にどうするのかということをこれから伺いたいわけでございます。たとえば学生会館にまだ武器がある。しかもいま話しましたようにそこが出撃基地になって、この出撃基地を利用して62年館に出撃していって、ここをまた占拠する。そして凶器というものがしばしば使われるわけですね。この凶器を一掃するということはできないのですか。これが1つです。

それから学生会館というのはサークルその他一般の学生諸君も使うところなんです。したがって、少なくとも学生諸君が、学生会館はみずからの会館ですから、ここでいろいろな集会やその他ができることと同時に、少なくとも夜間はこれはもう完全に閉鎖をして、中にある武器は全部摘発をするというぐらいのことをやらなければ大変なことだと思う。これが2つ目です。

それから3番目は、外から暴力の集団がトラックで乗りつけてくる。これは大学当局が学内のことは一定の責任は持てても、外から入ってくることに対して、それまで大学の手は及ばない面があると私は思うのです。そうすればこれは凶器準備集合罪、明らかにこれはもう押さえられるわけですね。それをやらなければいかぬと思うのです。中へは武器を入れさせない。中の武器は撤去さす。そしてそれに従わない者は逮捕する。当然のことです。犯罪行為だから当然逮捕すべきです。こういうことが野放しにされてはたまらぬと思うのです。

ところが大学当局は退去命令を彼らに対して出したことがいままでにありますか。これは大学局長に伺いたいのですが、大学当局がこういう連中に対して退去命令を出したことがあるかというのです。いつでもロックアウトという形で一般の学生諸君も全部追い出してしまう。こういう暴力集団に対して退去命令を出して適切な手段をとるというのは、これはもはやもうどなたが考えてもあたりまえの手段だと私は思うわけです。これらの数点についてお伺いしたいのです。どうでしょうか。

[127]
政府委員(文部省大学局長) 井内慶次郎
法政大学におきます学生集団間の対立抗争が絶えず、ときには暴力事件に及んでおりまして、まことに遺憾であります。新学期に入ってから、私どもの聞いておりますところでも、学生集団間の対立抗争事件が数件発生し、6人の重軽傷者も出しており、特に5月28日の62年館の教室内における中核派集団とこれと対立する学生集団との対立事件の際には、大学当局は不測の事態を回避するため夜間学部の授業を中止せざるを得なかった、こういうことでございます。

文部省としては、さきに山原先生からも御質問をいただいたことがございますが、法政大学当局に対して学内における暴力行為の未然防止、学生会館の正常化、自治会費の徴収方法、その使用のあり方等、3点を中心としながらいろいろな助言、指導も行ってまいったところでございますが、学生会館の正常化については春休み中に具体的な改善措置に是非着手してほしい、こういうことで指導を行ってまいりました。学生会館は春休み中に一応大学当局による点検も行われまして、その当時のロックアウトは解かれたわけでございますが、先ほど来御指摘のような暴力事件が発生をいたしております。

大学当局としては、4月4日の入学式当日及び5月29日の2回にわたり御指摘の法政大学の3原則6項目の告示を全学生に配付し、学生に対する暴力行為根絶の趣旨の周知徹底を図り、学生会館の正常化につきましては、春休み中に内部を点検し、一部施設の不正常な状態を改善した上使用を再開しておるところであり、自治会費の問題につきましても学部長会議等学内の機関でその正常化について鋭意検討中のところでありますが、さしあたり暴力行為の防止等と関連して、3原則中に明記されている思想、信条の相違と対立を暴力によって決しない旨の意思表示がなければ、自治会費の交付を行わない旨を各自治会に示し、その指導を続けてきておるというように聞いております。

大学当局がいろいろな努力をいたしておるのでございますが、暴力行為等を学内から一掃し得ず、ただいま御指摘のような事件が起こっておりますことはまことに遺憾でございます。5月28日の事件の際に学外者が学生証を偽造して落としておった者があったようでございますが、文部省としましては法政大学関係者の来省を求め、学外者による暴力事件の発生、凶器持ち込み、こういったものを防止するための具体的な措置を何とか大学も警察当局等とも相談をしながらとにかく早急に講ずべきであるということで、その旨の検討を引き続き求めておるところでございます。

法政大学の最近の状況に関しましては、おおむね以上のような状況でございます。

[128]
日本共産党 山原健二郎
いろいろときには文書を出したり、ロックアウトしたりするようなことは――文書もそうしばしば出しておるわけではありません。私の聞いておるところでは、1回か2回ではなかろうかと思うのです。1回かもしれません。

それから、このままで放置するならば、まだ何が起こるかわかりませんね。自治会の討議資料などというものを彼らは出している。自治会費用で出しているのですよ。これも一般に配っているわけですが、いわゆる内ゲバ問題についての一問一答、これを見ますと、殺人行為をやっていいんだと公然と書いているわけです。こういう集団ですね。だから、単なる思想、信条による争いなんというものじゃないのです。考え方の違う相手は圧殺する、こういういわゆるテロリストの思想なんですね。しかも集団で、そして武器を持ち、武器を持たない大学を制圧する。そして大学当局もこれに対して適切な手を打つことができないという状態です。いろいろお考えにはなっておると思いますけれども、実際には次第にエスカレートしていくという状態ですね。これをどうするのか。また、あるいは大学の中にこういう犯人、殺人集団といいますか、そういう社会的な犯罪行為を行っておる集団に対して、まだこういう連中については警察当局を呼ぶのはいかぬのだとかいうような考え方があるのじゃないか。私は、ここら付近はやはりはっきりしていいと思うのですよ。われわれが、たとえば一般の市民の間にいろいろな問題があって、そして事件が起こるとすぐ逮捕される、あるいは官庁に行けば、退去命令が出る、警察が出る、こういう状態です。これはもうきわめて簡単に行われているようなことなんです。しかし、私たちはそういうことを奨励するなどということを言っているのじゃないのです。問題はその現場において解決すべきです。こういう明らかに殺人を志向している連中、しかもそのことによって授業がしばしば中断をされる、教育ができない、しかも殺人行為がすでに行われている、こういう状態の中で、これに対して退去命令を出し、警察を呼んで大学の自治を本当に守っていくという、当然のことです。そういう点で、いまこの暴力に対してあいまいな態度が文部当局にもあるいは大学当局にもあるのじゃないか。だから、どうしても態度があいまいになり、微温的になってくるわけですね。ますますエスカレートする。彼らは、日共が権力にわれわれを売ったと言っている。何を言うかと言いたい。殺人行為をして、たくさんの人たちにけがをさせて、第三者まで巻き込む卑劣な連中に対して断固たる態度をとらなければ、どうして大学の自由が守られるか。言論、学問の自由がどうして守られるか。ここまで問題は来ているのじゃないでしょうか。そういう点で、やはり大学当局に対しても、本当にこの暴力に対して毅然たる態度をとるということ、文部省も、大学当局あるいは学生諸君、大学の教職員の、暴力を排除しようとするこの行動に対して、これに激励を与えていく、こういうことがなければ問題は解決しないと私は思うのです。そういう点で、文部大臣の見解をぜひ伺いたいのです。

[129]
文部大臣 永井道雄
今日のような事態を招きましたことはきわめて遺憾であります。われわれといたしましては、暴力を用いるということ、特に人を殺傷する暴力を用いることが絶対に許されないということについて、学の内外を問わない問題であると考えております。したがいまして、法政大学を含めて、学校教育の場においてそうした問題が生じることについて私たちがとっている態度は、いま申し上げたとおり、学の内外を問わず、暴力、特に人を殺傷するような行為は絶対に許されないという立場であり、また学校にもそのようにわれわれは指導、助言をいたしております。したがって、そうした問題は、学の内外を問わず、警察の力によって暴力を排除しなければならない、それは当然のことであって、大学に対しても、また他の学校に対しても、私たちはそうした立場で臨むということを指導、助言いたしておりますし、そうした方針でなければ、人を殺傷するがごとき暴力というものを完全に排除するということはできないものと考えております。

[130]
日本共産党 山原健二郎
考え方としてはよくわかるわけですけれども、やっぱり実効のある手段というものがとられないといけない段階に来ておると思います。そういう意味で、この前も大臣の方で御答弁の中で申されたことは、学内の暴力を未然に防止するということ、それから学生会館の正常化を春休みには着手をしてやるということをお話しになっております。それから、自治会費の徴収方法、使用のあり方についても、学部教授会と自治会に適切な指導をしてもらいたいというようなこと、こういうことは御答弁になっているわけです。これをやはり実効あるものにしていくべきではないかというふうに私は考えます。

それからもう一つは、警察当局に伺いたいのですけれども、完全武装した部隊が横行しているわけです。行ったらわかりますよ。そうしてパトカーもおりますし、それから装甲車も行っておるときもあるわけですね。これが飯田橋から見附橋の付近、あの付近に彼ら公然と行っているわけですね。こういう武装部隊が大学の中に入っていくのを大学の先生方が入口でとめるといったってとめれるような状態ではないのです。ここに写真も持ってきておりますけれども、みな竹の棒から鉄パイプを持ってうろうろしているわけですからね。こういう状態で、学内に少なくともこういう連中を入らせないということができないのかどうか伺っておきたい。

[131]
説明員(警察庁警備局公安第三課長) 柴田善憲
いま御指摘のような事態につきましては、場合によりましては凶器準備集合罪等でこれを逮捕することのできる状態があろうかと思います。ただ、また場合によりましては、いわゆる危害目的の立証等で多少むずかしいというケースもあろうかと思います。その場合、ケースによる事態ではないだろうかというふうに思います。

また、先ほど御指摘ございました学内に貯蔵されております凶器の問題につきましても、これは押収、捜索等で、累次これまでも押収、捜索いたしておりますし、今後もそのようにやっていきたいと思っております。

警察といたしましては、いずれにいたしましても、いかなる違法事態も看過する気は毛頭ないわけでございまして、違法事態がある限り、これまでもいつも出動しておりましたし、今後ともさらに文部御当局あるいは大学当局との連絡を緊密にしながらやってまいりたい、このように考えております。