昭和48年02月24日 衆議院 予算委員会

[065]
日本共産党 山原健二郎
昨年の11月8日に早稲田大学におきまして川口大三郎君という学生がリンチ、殺害を受けて、そしてその遺体は東京大学の構内に遺棄されたという事件が起こりました。文部大臣は当然この事実は知っておると思いますが、その後の早稲田大学における動向といいますか、それについてはあなたは知悉をされておりますか。

[066]
文部大臣 奥野誠亮
なお紛争が続いているわけでございまして、たいへん心配をいたしております。今日なお学園の中を総長が自由に歩けないというような状態も続いているということを聞かされますたびに、心寒い思いをいたしておるわけでございます。



[083]
日本共産党 山原健二郎
総長のことばを申し上げましょう。あなたの認識は全く誤っています。そんな状態じゃないのです。これはもうすでに昨年のことですが、11月8日に事件が起こりまして、その後、学生諸君の、私が申し上げましたような状態が続いて、総長もいろいろ苦悩されたと思うのです。しかし総長は、12月の9日にこう言っています。「革マル派の暴力追放から新生自治会の結成へと熱意を盛り上げてきた学生の力は高く評価している。連日行なわれている討論が、きっといい結果を生むと期待もしている。この盛り上がりが完全に全学生のものになるまで事態の推移を見守り、大学として適当な時期に打つべき手を考える」と言っています。すでに昨年の12月9日の段階で、早稲田大学村井総長は、あなたと違って、すでに早稲田大学に正常な姿が生まれつつあるということを総長みずからが言っておるわけでしょう。あなたは、2月のこの日になりまして、まだそんなことを言っておるのですか。いま、早稲田大学で暴力はあるのですか。ゲバ、リンチあるいはテロ、そういう事件が起こっていますか。

[084]
文部大臣 奥野誠亮
総長の気持ち、私はまさにそうだろうと思います。私もそんな気持ちを持っております。一般学生に勇気を持ってもらいたいなという気持ちを非常に強く持っておる一人でございます。同時にまた、いまのお話は12月のときのお話のようでございますが、2月の初めにおきましても、早稲田大学の構外で機動隊が待機しておった。なぜ待機しなければならないか。やはり、一触即発のような学園の状況に備えて警察当局がそういう配慮をしておったわけでございますから、おっしゃるほど自由な姿になっていなかった、こう私は思うわけでございます。きょうからたしか入学試験が始まったのじゃないかと思いますので、きょうの時点におきましては、そういう不安があるとは私には考えられませんけれども、2月の初めにおきましても、いつまで待機しておったか知りませんけれども、機動隊が学外に待機せざるを得ないということは、非常な不安な学園の中の姿ではなかっただろうかと推測をいたしておるわけであります。

[085]
日本共産党 山原健二郎
早稲田大学におきますところの第二文学部の暴力事件、これはいままで、特に1969年以降、学校に登校できない学生もおりました。私の調査では、1969年以降大体26名、暴力をふるわれたわけですね。それから、そのために授業料も払えず、1年、2年留年したとか、授業料を払いながらもそれ以上学校へ行けない、授業も受けられないという状態で、学校をやめていった学生も13人おります。この個人に対する暴力、監禁、テロ、リンチ、脅迫、強奪事件、これは1968年以降約70件、被害者90名、この中には女性も含まれています。そして、その中で、1970年の10月には、山村君というのが御承知のように焼身自殺をするという事件も起こっているわけですね。こういうことがあったのです。加害者の名前もわかっているわけですが、そういう事件がありました。

そして、その最後が川口君のあのような殺害事件になってきたわけです。

しかし、いまはそういう状態はありません。学校に登校できない学生はいなくなっています。そういう状態を学生諸君みずからがつくり出しているわけですね。そういう大きな流れというものを認識をせずして、大学問題について何を考えているのですか。だからあなたは、いつもセクト間の争いだと言っているわけです。この前、2月の3日の、本予算委員会の総括質疑におきましての、わが党の松本善明議員に対してのあなたの答弁をちょっと読み上げてみますと、「事実セクト間の激しい対立が行なわれているわけでございます。たとえば、文学部が革マルだとか、あるいは法学部が民青だとか、いろいろいわれておるわけでございますし、これらのセクトが学外のセクトとも密接に関係を持っておるわけでございます。そういうことで荒れに荒れているわけでございます。」と言っている。

2月の3日に、早稲田大学は荒れに荒れておったわけですか。2月の3日、松本議員がこの場所であなたに対して質問をいたしましたとき、早稲田大学は荒れに荒れておったわけですか。私がいま申し上げましたように、大学の中は、村井総長まで言っておるように、学生諸君や教職員の皆さんの努力によって正常な状態に返っておるとき、それをあなたは「荒れに荒れている」と、こう言っておるわけです。しかも、私が学生諸君の数を言いましたように、各学部におきまして、定足数をはるかに上回る学生が集まっている。早稲田大学4万。民青とかなんとかいう問題じゃないのです。その4万人の学生諸君の意向というものが暴力追放のほうに向かって、そして、定着した自治会を構成し、しかも、学部当局がこれを是認するという、そういう状態、その2月の3日です。その段階であなたは、なおかつ事実に反して「荒れに荒れている」という、そういう答弁をいたしているわけです。私は、こういう国会における事実誤認の答弁に対しては抗議をいたしたいのです。荒れに荒れておったのですか。

[086]
文部大臣 奥野誠亮
私は、そのとおり認識いたしておりました。その当時、学外に機動隊が待機しておったのです。なぜ待機しておったか。いつ、どんな問題が起こるかわからないから、心配で待機しておったのであります。同時に、あの当時の新聞の写真を見ると、学生部長が学生に両腕をかかえられて、学内を振り回されておったじゃありませんか。まさに暴行、脅迫が公然と行なわれておったじゃありませんか。同時にまた、政経学部ではストライキが行なわれておったじゃありませんか。あれが正常な状態だとおっしゃいますと、私と山原さんの間には非常な認識の違いがあるなと、いまさら思い知らされるような感じがいたしておるわけでございます。

[087]
日本共産党 山原健二郎
あなたは答弁の中でも、学生部長ですか、それが腕をこうされたという写真を見たという話があるのですが、それは、多くの学生の中でそういうことがあったかもしれませんね。けれども、テロ、リンチ、殺害、こういうものが横行してきたわけで、荒れに荒れておるというそういう状態は、いま、学生やあるいは教職員の皆さんの力でなくなろうとしておる。この現実を見ないで、いまもなおかつ、いままでどおり、革マル派の暴力とか、そういうものがあの早稲田大学の中を横行しておるというふうな認識であなたはこの本委員会における答弁をしたんですか。

昨年11月8日に川口君が殺害されたときから、いまもなお荒れに荒れておる、そういうテロあるいは脅迫、暴行、殺害事件などというものが早稲田の中に起こっているという情勢の判断をしているわけですか。だからあなたは、いま学生諸君の、あるいは教職員の皆さんの、総長までが認めておるような正常な状態に取り戻そうとするこの努力に対しては、何らこれを認めようとしていない。実際にはあなたは、こういう不正確な情報に基づいて発言をしておるにすぎないわけです。

[088]
文部大臣 奥野誠亮
2月3日と山原さんが御指摘になりましたが、その際は私は、いろいろな関係者と電話で連絡をとって情勢を確かめております。2月3日現在のことでございまして、しかし、一刻も早く学園が正常化するようにこいねがっており、また、それに対していい知恵がないかと考え続けてきている一人でございまして、総長が12月にそういう気持ちを持っておられたことは当然のことだと思いますし、またそのときも、2月の3日現在におきましても荒れておったことは事実でございまして、そういう平和な秩序ある学園ではなかったと考えておるわけでございます。ストライキが行なわれておったこと一つとりましても、それは私は、御理解いただいていいんじゃないだろうかと思います。



[104]
日本共産党 山原健二郎
どこであなたと私とがかみ合わないかというと、あなたは事実を根拠にしてないからです。そうでしょう。長い間、先ほど言いましたように登校できない、暴力を受ける、革マルの暴力を受けるということで登校できない学生がおったわけですね。そして最後にはああいう殺害事件が起こった。しかし、早稲田の学生、教職員がそういう暴力は排除しようということで皆さんがじりじりと立ち上がって、その革マルの暴力を排除していく、こういう状態になって、現在では登校できない学生はいないのであります。こういう事実に基づいて論議をしないから、だから全く根拠なしに「荒れに荒れている」んだという国会答弁になってしまうわけです。文部大臣は警察当局じゃありませんから、だから学生の動向とかあるいは教職員の姿、そして大学の流れがどういうふうに動いておるのかということぐらいは把握していなくて、どうしてこういう重大な問題を分析することができるのですか。だから私は、あなたが私に反論するならば、事実をもって反論をしていただきたいわけです。ところが一つも事実はない、しかもその虚構の上に、「荒れに荒れている」ということばが出てくるわけでございます。問題はそういう状態ではなくして、大学の流れは新しくこの暴力を排除する方向に向かっておるということなんです。そういう根拠なしに、あなたは松本議員に対する答弁をいたしまして、「荒れに荒れているわけでございます。」と、こう言っているわけです。(発言する者あり)あなた方も事実を知らないからそう言っているんでしょう。事実を私は言っているんだから、反論があるならば事実をあげて反論してもらいたい。

しかも、こういうところをあいまいにすると大学におけるセクト間の争いだとかいうような問題だけで、すべて問題があいまいもことされていくわけなんですよ。だから、私はきょうは1時間半の時間をいただいて、ほんとうに事実の土台の上にあなたと論議をしていきたいと思って言っておるわけです。しかも、そういう根拠のない、「荒れに荒れている」という上に立ってあなたは警察の常駐を提案をしております。松本質問に対しまして、「現在、いまの早稲田大学に警察のパトロールを頼むべきじゃないか、それ以外には秩序を維持できないじゃないかと、こう思うのでございまして、ぜひ日本共産党の御賛成を私は得たい、このことを提案申し上げたいと思います。」こう言っておるわけでございますが、これはいま私が申しましたように、大学がみずからの力で暴力を排除していこうとしておることに対して、いま警察の力がなければ秩序を回復することはできない、しかも警察官の常駐パトロール体制をつくるということですね。これも事実認識の誤りの上に立って行なわれていることなんですよ。だからあなたは、当時、2月3日ですよ、2月3日に何もないんだから。その前後にはないんだから。あるならば反論しなさい。

ところが、そういう状態であるにかかわらず、あなたは大学に常時パトロールを入れるということを提案しておるんですね。これは文部官僚の、文部行政者の言うことじゃない。警察官僚の言うことだ。そういう考えをいまも持っておるのですか。

[105]
文部大臣 奥野誠亮
そのときの松本さんのお尋ねはこういうことであったと私、記憶しております。速記録を見直しておりませんのであるいは食い違いが若干あるかもしれませんが、自分がたびたび政府に警告を発しているにもかかわらず、早稲田大学で川口君が殺されたじゃないか、政府は一体どう責任をとるのかという式のお話であったように思います。

そこで、早稲田大学が非常に荒れておるわけであります。機動隊が学外に待機している。また、学校の責任者が学園の中を自由に歩けない、いつ危害が加えられるかもわからない、そういう状態でございますから、そういう状態の中で政府に責任をとれと言われると、やっぱりパトロールを許す以外には責任をとれない。私は、常時パトロールなんということは言っておりません。速記録にそんなことはないはずでございます。パトロールを許したらどうかと、こう申し上げているわけでございます。それ以外には政府の責任を追及された場合に政府の責任のとりようがない、こう私が判断したから、松本さんのそういう御意見に対しまして、そういう提案をさしていただきますと、こう申し上げたわけであります。

[106]
日本共産党 山原健二郎
「現在、いまの早稲田大学に警察のパトロールを頼むべきじゃないか、それ以外には秩序を維持できないじゃないかと、こう思うのでございまして、」これは2月3日の時点です。で、松本議員が問題を提起したのは昨年の4月3日でありましたか、本委員会の総括質問において、この暴力集団の問題を取り上げて、その1年間の経過のことを言っておるわけですよ。あなたが答えておりますのは、「現在、いまの早稲田大学」これは2月3日の時点ですね、その日が答弁の日ですから。あの2月3日の日現在、早稲田大学に警察のパトロールを頼むべき、しかも、それでなければ秩序を回復できない条件があったのですか。あなたはそれをどういう事実に基づいて判断をされたのですか。

[107]
文部大臣 奥野誠亮
そのときに答えておりますとおりに、一つは、学校の責任者が学園の中を一人で自由に歩ける状態にない、これが一点でございます。いつ身辺に危害を加えられるかわからない、そういう不穏な状態にあったということが一点でございます。これは学校当局者から聞いておるのであります。

第二点は、学校当局者みずからが、このままの状態ではみずからが警備力を保持せざるを得ない、保持しないではとても秩序の維持ができない、こういう不安を訴えられたことが第二点であります。

第三点は、学外に機動隊が何個中隊か待機を続けておったという事実でございます。


こういう三点から考えまして、一体政府の責任をどうとるのかと追及されてまいりますと、やっぱり学園の中がおさまるまではパトロールをしてもらう以外にはとりようがない、こういう判断をして、御相談を申し上げたわけであります。



[116]
日本共産党 山原健二郎
大臣の答弁はやはり事実認識が違うのです。当時の新聞も読んでみていただきたい。大体一般の商業新聞におきましても、学生諸君の行動というものに対して評価をいたしております。主張においても評価しております。セクトの争いか、そうではない、圧倒的多数の学生が暴力追放を求めていると書いてあるんですよ。しかも4万の学生が立ち上がって、そして大会に出席し、自治会を再建しておるということも書かれている。またテロ、リンチを行なう革マルとの対立である、川口君を殺したのは、これは明らかに革マルという集団ですね、だからそれとの対立である、それを克服していく過程が新聞の記事にも克明に書かれておるのです。そうして、それはほぼ天下周知の事実である。しかも、セクト間の争いだというのは間違いだ、こういうことばも主張の中にも幾つか出ておるわけでございます。だから、ちょうど電車の中で暴力が発生する、それに対して、その暴力に対して電車の多数の者がそういうことをやめろ、そういうことはするべきではないと言って多数の人たちが、電車の中におる者が立ち上がる、こういう状態なんです。それをあなた方はセクトの争いだ、こういう言い方をするわけですね。大多数の早稲田の学生、それがセクトですか。革マルの殺人行為に対して、そういう暴力は排除しようとして立ち上がっておる。そういう運動を起こしている。しかも、最初はあぶなくて、危険な状態の中でやっている。それとこの革マルとの間がセクトの対決ですか。あなたはそういう感覚をもって見てきているんじゃないですか。

だから、あなたは早稲田の問題についてもこう言っておるわけですね。革マルの問題を追放して民青が早稲田をとるんだとかいう言い方をしているのですよ。そういう言い方をしている。どろ仕合いに持っていくんです、あなた方が。大多数の学生諸君がこうした努力をしておる段階で、そういう見方をあなた方は常にしてきたわけです。これはどうですか、この11月以降の状態は、革マルと暴力追放という学生とのそういう対決ではなかったんですか。

[117]
文部大臣 奥野誠亮
川口事件というようなほんとうに残念な事件が起きたわけでございますので、早稲田の全学生が暴力を追放したいという気持ちを強く持ったことは、私はそのとおりだと思います。したがって、また文学部の学生自治会を革マルが主導権を掌握している、これを追い落としたい、みんなそういう気持ちを持ったようでございます。

ところが、とってかわるものが民青だということで一般学生が必ずしもついていかない、その事実があるのでございます。民青じゃ一そういやだという学生もあることは事実でございます。そういう意味のセクト間の争いでございまして、セクトに入らない学生が大部分なんですけれども、学生自治会の主導権争いがセクト間の争いになるわけであります。

だから、暴力追放においてはみんな一致するんですけれども、セクト間の争いにはついていけないという気持ちを一般学生が持っているところに、早稲田大学の正常化が時間のかかっている基本的な原因があるというふうに私は思っているわけであります。

[118]
日本共産党 山原健二郎
民青が何をしたんですか。

[119]
文部大臣 奥野誠亮
民青が文学部の学生の自治会を掌握したいという努力をしておられることは事実のようでございます。

[120]
日本共産党 山原健二郎
民青が暴力を使ったんですか。

[121]
文部大臣 奥野誠亮
かってに質問されても困ると思うのです。私はそんなこと一つも言っておりません。暴力を追放するという意味において早稲田の全学生が一致しているでしょう、こう申し上げました。

[122]
日本共産党 山原健二郎
私はだから最初に数字をあげて言ったわけです。大多数の学生諸君が暴力追放、そういうことでみずから自治会をつくっていくという過程を歩んでいるわけですね。そのことを私は言っているわけですよ。それをあなたは、そのことを見ようとしないで、革マルと民青の戦いだとか、そういうすりかえをやっておるんですよ。民青が大多数の学生諸君の支持を得て執行部になることだってかまわぬじゃないですか。あたりまえでしょう。しかも4万の学生、民青じゃないですよ。率直にいって、そんなにたくさんおるとは私は思いません。あなた方はそういうすりかえを論議の中に持ち込んできているのです。だから、いつもこういう形で暴力集団が泳がされているのです。実際にそうなんだ。そういう状態で、民青がおるからということで革マルの殺人行為、テロ、リンチ、これが許されてきたのです。実際そうですよ。

だから、あなたの発言の中にもあるのですよ。いいですか、早稲田大学で殺人事件を起こしたのは革マルでしょう。殺人事件を起こしたのは革マルという集団ですね。これは隠れもない事実。そのことについて文部大臣が、川口大三郎君が殺された早稲田大学は、革マル系と代々木系学生の間の激しい対立でゆれている、こういう言い方。しかも、革マルを追放したあとで民青が出てくる、こういう言い方。民青だってなんだってこれは学生に変わりはありません。民主的に選ばれれば、民青が執行部をとったってかまわぬことだ。当然のことなんです。そのことと、暴力を使い、リンチ、殺人を行なう集団とすりかえてはいけない。どういう学生が自治会の委員長に選ばれようが、それは学生の民主的な意向のもとで選ばれていく。しかし問題は、リンチ殺人事件を行なう凶暴な犯罪集団、それと問題をすりかえてはいかぬわけですよ。

だから、大多数の学生諸君が立ち上がっている。その中に民青はきらいだという者もおるだろう、あなたが言われたとおり。あたりまえのことでしょう。また民青でいいという者もおるだろう。またほかにもいろいろの集団があるでしょうね。そんなことを問題にしているのではない。すべての学生が暴力に対して対決しようとしておるときに、いつもセクト間の争いだ、こう言うわけです。暴力を排除する、暴力を使っておるこの凶悪な犯罪集団に対して、き然とした対決をしていくという姿勢が文部当局には見えないから、だからそれをすりかえるために、セクト間の争いだということで問題があいまいにされていく、そういう事実がたくさんあるわけですね。

私は、だから暴力の問題について、早稲田の学生、教職員が立ち上がって、正常な状態にこれを変えようとしている努力、そしてそれが一定の成果をあげている今日、そのことについてあなたは認めるかどうか伺っておきたいのです。

[123]
文部大臣 奥野誠亮
私は、学生自治会がどのセクトに掌握されたらいいというような式の考え方は、一つもここで申し上げたつもりはございませんので、先ほど山原さんがいろいろ、私の言わないことまで言ったような式で御質問されていることは、ぜひ変えていただくようにお願い申し上げておきます。

同時に、学園の秩序を回復する、これはもう早稲田全学の責任だと思います。またそのために一生懸命皆さんが努力されていることも、私はもちろん評価をいたします。さらにより一そう早く完全な秩序の回復されることを、期待している一人でございます。